前回からの続きです。画像多めで行きます。
その1はこちら。
まずはリアドラムを開ける。ちょっと写真では分かりづらいが、数年ぶりに開けたブレーキの中は結構汚い。ブレーキダストがオイルで湿っている。
でもスモールボディの場合、アクスルシャフトのオイルシールが少し貧弱に見えるから、この部分がカラカラに乾いている車両ってどのくらいいるのか気になる。ある程度の湿りはデフォルト、ブレーキシューがオイルで濡れなければOKくらいの感じなのだろうか。
今回オイルシールは新品にしたのでたまに様子を見てやろう。
バックプレートを綺麗に洗浄し、ブレーキカムも一度取り外し、充填されているグリスを入れ替える。
ちょっとこの部分、何のグリスを使うか悩んだ。外界と接する場所だからシャシーグリスが正解なのかな、熱にもさほどさらされないのだろうし。
が、シャシーグリスを切らしている事に気付き結局ブレーキグリスで組んだ。グリス買っておかないとだなあ。
各部を清掃、新品のシューは表面をペーパーで荒らして、鳴き防止の為に角を落とす。オイルシールの摺動面にはシリコングリスを塗っておいた。
で、このまましばらく置いておく。
お次はクラッチ。ベスパのクラッチは初めて触るから緊張するが、その緊張が吹き飛ぶくらいカバー周りはひどく汚れている。触りたくねえ、、、
無事バラバラ。ET3のダブルになっているクラッチスプリングはクラッチばらしのSSTが使えないと方々に書かれているけど僕のには何故か使えた。何でだ??
噂のET3純正クラッチスプリング。自由長がかなり長い。
SSTが使えないと聞いていたのでスプリングは社外品を用意していたんだけど、自由長が長過ぎてむしろ組む時に苦労しそうな感じなので(SSTの長さが足りない)社外品のスプリングは買っておいて正解だったかも。
まあ純正スプリングも不具合がある訳じゃないので保管しておきます。
古いクラッチ板。そんなに激しく減っているわけではないなー。確かにキックの時は少し滑っていたけど走っている最中は滑りは感じなかったからね。
同じく車体に付いていたフリクションプレート。何度も確認したんだが歪みもなく、インナーバスケットと当たる部分にも痛みがないので再使用する事にした。
傷んでいた時の為に部品は用意しておいたんだけどねー。
インナーバスケット。ここもさほど傷んではいない。フリクションプレートの内周のタブがここに当たるのだけど、クラッチ操作が荒い乗り方をするとここがガタガタになる(そういう写真をネットで見たことがある)。アウターバスケットにも痛みはほとんど無かったから、僕のクラッチ操作は丁寧な方なのかも知れないね。
用意しておいた社外のクラッチスプリング、POLINIのWAVE。クラッチばらしSSTが使えないなら組めもしないだろうと思い買っておいたのだが、結論から書くとスプリングはバラさずに純正を再使用した方が良かったな。
理由は後述します。
ベスパのクラッチ組み替えは初めて作業したのだが、この辺の手順書やインターネット上での作業を閲覧しておけばまあやってやれない事はない、というのが作業してみての感想。確かに国産車に比べればめんどくさい事も多いけど、組めるようにしか組み上がらないし、多少機械いじりの心得があれば何とかなると思う。
作業姿勢は、車体リフトがないと辛いけどね。笑。作業を終えて5日くらい経つけど僕はまだ腰が痛いです。笑笑
クラッチカバーを閉じて、
ブレーキを組む。休日に朝から始めた作業だけど、この頃にはもうすっかり陽も落ちて工具の片付けは作業灯で照らしながらだった。
本当はこの日(2024/10/13)作業を全部終わらせて翌日はバイクで遠出するつもりだったんだけど、初めての作業は甘くないね。結局翌日も朝からベスパをいじった。
翌日も朝から作業。初めにパイプユニッシュを充填して漬け置いていたマフラーから洗浄液を抜き、水ですすぐ。真っ黒の水が透明に近くなるまで何度も繰り返す。
漬けおきのための栓は、ダイソーで売っているステッキの先端用の替えゴムがいいです。あつらえた様にぴったりのサイズで、安価。
後はエンジンを正規の位置に戻して諸々のパーツを組み付けていくだけなんだが、この日はここからが長かった。
まずはキャブをインテークパイプに固定するクランプ、何度も脱着を繰り返した部品なのでだいぶくたびれていたらしく、締め付け不能に。ネジ部は山が崩壊しかけて回らないし、クランプ自体もかなり歪んでしまっている様。ネジ山はタップとダイスで修正し、クランプも形を整えながら組んでみるも何だかしっくりこない。
元々形を変形させながら固定する部品だから消耗品なんだろうね、柔らかい鉄を使っているから形が歪むのもやむなしか。これはリビエラクラシックさんに部品を発注した。
手の黒さが作業の過酷さを物語っているでしょ?笑
リアハブナットのコッターピンも新品に。最近はこういうセットが安価で買えるからいい時代だよね。高校生の時バイクをいじり始めた頃、こんなセットは売ってなかったし、コッターピン(割りピン)だって気の利いたホームセンターに売っていればラッキーくらいの感じだった記憶がある。約40年前の話だ。
そしてブレーキとクラッチのワイヤーの調整。位置的に地面に寝転がっての作業になり、何ならその態勢で満身の力を込めなきゃならなかったり、これは整備というよりは体幹トレーニングだなあと。
ワイヤー引きの工具を必要とするのはベスパ乗り独特のものだと思うけど、僕持ってないんだよね。ワイヤーはバイスグリップで摘んで引っ張っている。専用工具持ってた方が作業は楽なんだろうか。
数時間の体幹トレーニングを終え、何とか組み上げる。緊張のキック。初め初爆がなくて少し焦ったが、結局無事始動。手をよく洗ってテストランに出かける。
まずはエンジンは絶好調。適正になったピストンリングのギャップと、それよりもマフラー清掃の効果が大きい様な気がするけど、雑味がなく超絶スムーズに回る。これは素直に嬉しかった。
が、びっくりしたのが、交換した強化クラッチスプリングの握り心地。
マジでクソ重い
いや本当に。
僕は左手の握力には自信がある。重い重いと言われているエヴォのクラッチも一度も重いと思った事がない。そんな僕が文字通り歯を食いしばらないと切れない重さ。アンビリーバブル。
おまけにベスパはそれを握ったままシフト操作をしなければならない。これは辛い。エンジンをスープアップした訳でもないから強化品を入れる必要なかったんだよなって思ったのが前述の内容。
実は流行りのcrimazのラック&ピニオンKitも入手しておいたんだけど上手く組めなかったんだよね、あれ、どうなってんの?とあれこれやっているうちにレリーズシャフトの支点のニードルベアリングがポロポロとバラけてきて、うわーと思って試行錯誤しないでそのまま組んじゃった。
以上、良くなった部分とそうじゃなかった部分を確認したテストランだったけど、家に戻って各部を点検しているとオイルが漏れた痕跡を発見。がーん。
腹筋がプルプルするくらい大変だった作業の直後にこれかよ、と3時間くらい凹んだが、風呂に入り酒を飲んでいるうちに気を持ち直し、重過ぎるクラッチを含めて組み直す決意を固めた。
オイルが漏れるとしたら今回手を加えた場所、クラッチカバーかブレーキのバックプレートか、もしくはレリーズシャフトの入り口くらいしかなく、レリーズシャフト部分は目視では漏れは無かったので漏れを止めるのはそんなに難しくないはず。
まあしゃーないんだ、素人が初めて組んだ場所だ、失敗もするだろう。失敗してもやり直せるのが素人のいいところでもある訳だしさ。〆切も無いよ、雪が降るまでには直したいけどさ。
そんなわけで。
ちょっと充電するまで時間がかかるかも知れないけど、その3に続きます。
カーチェイスシリーズ第3弾。
YouTubeでおすすめに出てきた映画なのだけど、、、いや、何というか、B級という括りをかすりもせずに通り越して、F級映画くらいのクオリティ。むしろ全編観てみたくなる。笑