陸前高田に行ってきた

 

義弟一家と陸前高田に行ってきた。

詳しくは書かないけれど、病気で寝たきりの生活を送っている義弟は7年前の震災直後に盛岡に来た。家族、奥さんと姪っ子ふたりは震災後もしばらく高田にいたんだけど、数年前に僕の家の近くに越して来て今は家族4人で暮らしている。

そんな義弟から、お義兄さんの運転で、ねえちゃんも一緒に高田に行きたい、というオファーがあったのが2月だったかな。去年の8月にもちょっとだけ書いたけど、時間はだいぶ経ったが高田も随分復興が進んできて、自分が生まれ育った町のそんな様子が見てみたかったのだろう。
断る理由なんてないから快諾して日程を調整、福祉車両のハイエースをレンタルして、僕と妻と義弟一家の6人で先月の31日に日帰りで。義弟は震災後7年にして2回目の帰郷。

 

高速を使うとゆっくり走っても1時間半くらいで着くのかな、半年と少しぶりに来た陸前高田の町は少しずつだけど、かさ上げした土地に更に建物が増えた。今回はちょっと写真も撮ってきたので載せる事にする。

 

中心部に位置するのがアバッセ、と名付けられた商業施設。スーパーや衣料品店、市立図書館などが入っている。
妻によると、あばっせ、とは「行ぐべ」という意味の気仙弁らしい。バリバリの沿岸訛りで教えてくれた。
妻は、盛岡に生活の拠点を移して10数年になろうとするのに未だ気仙弁が抜けない。抜けない、というか、この人はそもそも南部弁を話すつもりがないのだろう。

 

隣接する土地には公園も出来、家族連れが遊んでいた。

 

陸前高田市民に愛される食堂「みつわ」も仮設店舗から移転オープンしたところだった様。

 

でも、建物が建ち始めたのは根こそぎ津波にさらわれてしまった旧市街地のごく一部で、現地に行ってみると更地の方が俄然多いのが良く分かる。というか、かさ上げ工事自体もまだ終わってはいないのだ。
市の行政の中心である市役所だってまだ仮設のプレハブで業務をしている。震災後丸7年経っても暮らしの基盤すらまだまだ出来ていないという事実には、たまに帰るから余計にそう思うのかも知れないけど正直愕然とする。

7年、長いよ。震災当時小学一年生だった姪っ子(僕の娘と同級生)はこの春から中学3年生だ。
工事にお金も手間もかかるのは僕にだって分かる。大変だよ、あれだけの大工事。だから感謝もしている。でも一つだけ言う。東京オリンピック、ありゃ間違いなく被災地の復興の妨げになったよ。
招致が決まった瞬間にゼネコンが一斉に被災地から引き揚げた、という話、知らない人も多いと思うけど本当の話だからね。

 

 

義弟が久し振りに帰るというので、義弟の同級生が30人近く集まったのだけど、これだけたくさんの陸前高田のロコが集まると壮観だった。震災後も土地を離れなかった人たちだ。
僕は少し離れたところでその集まりを眺めていたのだけれど、伝わってくるゆるくて暖かいヴァイブスは昔この土地に暮らしていた時日々感じていたものだった。義弟が帰ってきたがった理由も妻が未だに気仙弁を話し続けている気持ちも少し分かる気がした。
妻が、高田は雪がなくていいなぁ、とつぶやくと、居合わせた親戚がさらっと「んじゃ帰ってきたらいいんだ」と言う。この軽みの中にある懐の深さが、上手く言葉に出来ないけど、ふるさとのふるさとたる所以なんだろうな。

僕の娘と同級の姪っ子の将来の夢は、小学4年生まで暮らした陸前高田の市職員になる事なんだそうだ。そういう誘因が生まれ育った場所、特に都会ではなく地方の田舎町にはある。これは間違いなくある。損得とか効率とか全く関係ないところにね。
だから不便でもなんでもその土地で暮らしてるんだと思う。便利なのがいい、と思う人は都会に出て行くだろう。それはそれでいいさ。ただ、土地に根付いてしか暮らせない人がいるという事も忘れないで欲しいな、と思う。そういう生き方も否定しないで欲しいな、とも思う。

一番いいのは一度実際に足を運んで貰う事なんだけどなー、見ると聞くとじゃ大違い、百聞は一見に如かず。どうすか?今度のGWあたり。いいところっすよ、気仙地区。

 

さっき気付いたんだけど、義弟からお礼のメールが届いてた。流石プロの運転でした、とお褒めの言葉を頂いた。オレも楽しかったからまた行こうね、と返事を書いた。
また行きたいな、ほんと。梅雨前にSRで行ってこようかな。

 

 

 

 

 

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