2025盆ツーリング1日目 55歳のバカ

予定通り、8月9日から11日にかけてFXRに乗ってツーリングに出かけてきた。
結果から言うと、晴れ、曇り、雨とバラエティに富んだ天気もありめっちゃ楽しいツーリングだったんだけど、まず出発前にちょっとハラハラする出来事があって、波乱を感じさせる幕開けではあった。

出発前々日の木曜日に軽い食中毒になってしまったんですね。仕事の出先で食べた定食に当たり、酷い嘔吐と軽い発熱があり、翌日の金曜日までまともな食事がほぼ出来なかった。
酷暑の中、こんな体調で1000kmの距離を走り切れるのか不安は尽きなかったが、出発当日6時に目覚めたら体調はまずまず。何とかなんだろ、こんなんでビビってたらなんも出来ねえわ、そう腹を括って出発する事に。

今回の旅の目的は、東北一周。2泊3日でだからそんなに楽な行程ではない。
旅に出る時って何かしらの目的があると思う。あそこの景勝地に行きたい、あそこのご当地グルメが食べたい、あそこの温泉に浸かりながら旅館でのんびりしたいetcetc‥。
何故か今回はそういう目的が思い浮かばなかったんですね。でも走りたい、旅には出たい。ならば住んでいる街を離れてただ走る事を目的にすればいいんじゃないか、と。55歳の初老のおっさんが走り込み東北一周ツーリングとかってなんかバカっぽくていいな、と思ったし。というか、っぽい、じゃなくてバカだよね?笑




と言うわけで、2025年8月9日AM8:00、いつものコンビニでおにぎりひとつと、熱中症対策になると言われているウィーダーインゼリーのエネルギーを摂って出発。
日差しが強く見えるかも知れないが気温は25度、快適な温度。涼しいうちに距離を稼ぎたいね。
盛岡南ICから東北道に乗り、南進する。


天気は快晴、気温もそれほど高くない。まだ時間が早いせいか車の量も多くない。
バイクの調子は絶好調。FXRの高速性能について書いた事が無かったと思うので書いてみると、65MPHちょっと(キロで言うと110km/hくらい)からエンジンの振動が消える。だから巡航は65MPHで、追い越しの際に瞬間的に80MPH(130km/hくらい)まで上げる感じ。ハンドルにビリビリくるような振動はなく、そのまま無振動でレシプロの戦闘機みたいな音を立てながら加速し、無理なく90km/hでリミッターが効いている大型トラックをスパッと追い抜ける。これは走っていてめっちゃ気持ちいい。

僕のFXRにはCONELY’Sというメーカーの純正レプリカのハーフカウルが付いているんだけど、それが滅茶苦茶効く。80MPH出しても、背中をちょっと丸めて頭を下げれば風圧を感じないで済む。不用意にハンドルバーから手を離せばブン!って風圧で後ろに持っていかれるスピードでだよ。長いホイールベースとスポーツ車よりは寝たキャスター角、フロント19インチのホイールなんかが相まって直進安定性も抜群。なかなかのクルーザーっぷりですよ。

で、この時期65MPH巡航で走っても油温が上がってのオーバーヒート傾向は皆無。燃費もむしろ一般道よりもいいくらい。こりゃFXRに乗る機会も増えますわな。


走り出して1時間もしないうちにめっちゃ気分が良くなってきた。住んでいる小さな街がどんどん遠くなっていく。それと同時に、生活に嫌でも付いてくる、しがらみや面倒ごと、憂鬱やたまに浴びせられる謂れのない悪意なんかが全部、バックミラーの彼方に消えていった。ははは、ざまあみろ。悔しいだろうが今オレは自由だ、オレを捕まえられるものなら捕まえてみやがれ。

ふと思った。バイクに乗ってて良かった。旅が好きで良かった。そして、ひとり旅も出来ないような男にならなくてほんとうに良かった。




国見SAで2度目の休憩。出発してから2時間、ちょっと長めの休憩を取る。
お盆期間中の前半は空いているはずの上り線だけど、流石に駐車場はほぼ満車。SAの建物の中や喫煙所にも人がたくさんいる。





小さなPAの方が人が少なくて気持ちは休まるのだが、そういう所は休憩スペースが無かったりするからね。この時期は定期的にエアコンの効いた室内で椅子に座って頭と身体を冷やすのが長旅で疲れないコツなのかなあと。




水を飲みながら東北道を降りた後のルートを地図で確認する。スマホだけだと画面が小さくて行程の全体像が見えないし、紙の地図だけだと細かいところまで分からない。例えば左折するべき交差点にどんな建物があるか、とかね。
だから紙の地図でルート全体を俯瞰してみて、走る国道や県道の番号を頭に叩き込む。その後スマホでGoogleマップを開き、要所要所をピンチして拡大、その交差点や手前にある目印を探す。
東北の田舎道を走っている分にはこれでルート取りはほぼ出来る。僕はバイクにスマホナビを付けるのがどうも苦手で。これはいい悪いじゃなくて好みの問題だと思うし、関東圏の複雑な道を走るのにはナビがあった方が絶対に便利だとは思うんだけど、僕は今のところこのやり方で間に合ってるかな。
でもスマホナビ派の方も、紙の地図を眺めるのって悪くないっすよ。自分が、日本のどの辺りを走ってるかが分かるって結構楽しいす。全行程をナビ任せだとそういう感覚が身体に入って来なくないっすか?




程なくして福島西ICで東北道を降り、最寄りのコンビニに入る。山越えに備えてそろそろガソリンを入れなければならないのだ。ガソリンスタンドの場所を確認しなきゃ。
こういう時は断然スマホの地図が便利。瞬時にスタンドの場所が分かる。
水分とニコチンを補給し、進行方向にある最寄りのスタンドを目指す。




どのメットを被って出るかで散々悩んだが、結局フルフェイスとジェットの両方持っていく事にした。
僕の旅支度は本当にシンプルで、この時期だと着替えと夜活用の短パンとビーサン、後はレインウェアくらいなもので左右のバッグに全部入る。だからリアシートの上が空いているのだ。
試しにネットでそこに積んでみたら綺麗に積めたので、これは高速用にフルフェイス持っていくのもアリだなあと。
高速では造りのいいフルフェイスは本当に楽だからね〜。






スタンドでは地図だけではなく口も使う。子供たちに福島名産の桃を送りたいのだ。店員さんに、この先に直売所的なものがありますか?と聞けば、ちょっと先を右折するとフルーツロードという街道があってそこにたくさんありますよ、と。時間には余裕があるから寄り道していくか。
今年は暑さは早めに引けましたね、そうですね、なんて会話をしてお礼を言ってスタンドを後にする。写真の通りのカンカン照りだけど気温は31度。そんなに暑くない。




直売所で桃を買い、発送の手続きをする。僕も食べたかったので店員さんにお願いして一個だけ売ってもらえませんか?とお願いしたらサービスでひとつ食べさせてくれた。
甘くて瑞々しくて、とても美味しかった。そんなに食欲がないから昼飯はこれでいっか。

ふと思い出すと、一昨年の盆ツーリングの時も昼食は桃だった。で、去年はクルマでだけど福島に来た。今年で3年連続かー。
去年の旅日記を読み返すと、色々一生懸命に生きててなんだか可笑しい。仕事の仲間と飲みに行くと高確率で2次会はキャバクラに連れて行かれるんだけど、今は全然普通に楽しめていて、まあ物事の渦中にいる時って先が見えないもんなんだなあ、と思ったり。
今は時々連れ合いが欲しくなったりするからね、ひとり身の気楽さと天秤にかけて本腰は入れてないんだけどそろそろそういう存在がいてもいいかなって思い始めてる。
バイクでひとり旅もいいけど、誰かとクルマでする旅行もいいよね、それはそれできっと楽しい。

少し長い目で自分の人生を考える時期なのかも知れないね。




あまりに気持ち良すぎて道中の写真はないが、福島市から裏磐梯へ抜ける国道115号線は最高だった。道路は高速コーナーの連続で景色も素晴らしい。去年クルマで走っていつか絶対にバイクで走りたいと思っていた道だ。
高度が上がって気温も下がり、Tシャツだと少し涼しいくらい。湿気も少なく、本当に気持ちがいい道路だった。

画像は115号沿いの道の駅で一服した時のものだけど、タバコを吸いながら手前のスポーツのオーナーと話になった。なんでも神奈川からキャンプで裏磐梯に来ているらしく。
神奈川から何kmくらいあるんですか?と尋ねれば、300kmくらいですかね、との答え。僕の家からもそのくらいなので、やっぱり福島は東北の玄関口なんだな。そして北東北は関東からは結構遠い。
裏磐梯のあたりは洗練されていて、同じ高原の岩手の八幡平なんかと比べても雰囲気が違う。それはひとえに関東からのアクセスの良さなんだろうな、なんて話を世話になっているスノー屋の店主とした事を思い出す。走っているクルマのナンバーもこの時期圧倒的に関東ナンバーが多く、バイクもまた然り。そのせいかヤエーを出してくるライダーは殆どいなかった。それもまた関東っぽいよね。




裏磐梯のリゾート地を抜け、桧原湖畔からこの日の最難関ルート、西吾妻スカイバレーに入る。若い頃何度も走った道だけど、ここに来るのは30年以上ぶりなんじゃないだろうか。道幅の狭いつづら折りの山越えの山岳道路で、もちろんハーレーには向いていない。

実は連絡が取れなくなった友達がいて。氏は若い頃ここを散々バイクで攻めていたんだよな。その友達の事を考えていたら無性に走りたくなった。
キックスタンドを2インチ伸ばしたFXRは、左コーナーでキックスタンドを簡単に路面に擦る様になってしまった。対策は考えているけど、早くても秋にならないと作業は出来ない。そんな状態で西吾妻スカイバレーのタイトな道を走るのは骨が折れた。
ハーレーは車重があるからね、左バンク中、路面の凹凸でサスがバンプした時にガン!とスタンドが接地したら弾き飛ばされるよ。ライザーとMXバーの組み合わせのハンドルで押さえが効くと言っても装備重量が300kgを裕に超える車両をそんな状況でコントロール出来る腕は僕にはない。




景色も画像のとおり素晴らしかったけどね。左奥に見える茶色い山が磐梯山。昔噴火して、その岩石で川が堰き止められて裏磐梯にはたくさんの湖が出来たのだそうだ。




こんなタイトなヘアピンが連続する道だよ?よく整備されていてアスファルトの上には砂や落ち葉がなかったのが救いだったけど。
下りは更にキツかった。重量のあるバイクだから、減速するにもちゃんとリアブレーキを多用してフロントに荷重が掛かり過ぎないように慎重にブレーキングしながらコーナーを一つひとつクリアしていく。フロントブレーキだけで減速しようとすればフォークの沈み込みが大き過ぎて車体の挙動が乱れるのだ。
これは運転が上手い友達に教えてもらったんだけど、速い人はリアブレーキの使い方が上手いって。例えばコーナーに入っちゃってから「ありゃちょっと車速が速かったな」って時にフロントブレーキで車速を調整しようとすると、ベクトルは車体が起き上がる方向に働き、車体はアウトに向かう。またフロントフォークがダイブして体勢が乱れる。車体は狙ったラインから大幅に外側にはらむ事になるし、ブレーキングが強すぎればそのままスリップダウンだ。

バイクに乗る方は試してみて欲しいんだけど、コーナーでのリアブレーキングにはそれがない。むしろリアのスイングアームが沈み込む方向にベクトルが作用するので、特に下り坂では有効だ。
これを覚えてから以前よりずっと山道を走るのが楽しくなった。




さて、辛いワインディングを走り終えたらもうそこはこの日の宿泊地の山形県米沢市だ。着いたのは16時過ぎだったが盆地だからか暑い!真昼の福島市よりも全然暑い、城跡公園とか散歩したかったけどそんな気になれないくらいの気温だ。大人しく部屋でくつろいでシャワーを浴びる、この時期のシャワーってめっちゃ気持ちいいよね。
本日の走行距離363km。




で、18時になるのを待って、ホテルの真正面にあったいい雰囲気にヤレた居酒屋で晩酌。軽く飲んだら引き上げるつもりだったが、カウンターで隣になった常連の人たちと意気投合して結構飲んでしまう。
いい一日だったしいい夜だった。明日からも安全第一でこの旅を無事に走り終えよう。






いいねぇ〜







Submit comment

Allowed HTML tags: <a href="http://google.com">google</a> <strong>bold</strong> <em>emphasized</em> <code>code</code> <blockquote>
quote
</blockquote>

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください