
2025年ももう終盤、11月も半ばだ。日もどんどん短くなってきたし、週末には仕事のグループの忘年会がある。早朝に仕事に向かうため家を出れば、カーポートの外に停めてあるステップワゴンのフロントガラスは真っ白に凍っている。
あとひと月もすればスノーボードのシーズンだね、今年はウェアも新調して気合十分。仕事の忙しさにも慣れてきたし、一緒に滑りに行く友達もいるので目一杯楽しもうと思っています。板のワクシングしないとだなあ。
・紅葉を見に行く2025

仕事で大変お世話になっているドクターが紅葉を見に行きたいというので、先週末に一関方面に走りに行ってきた。氏は仕事も家庭も大変に忙しく、周りの人たちはほぼ全員「本当によくやっているよなあ」と感じているのだけど、週一回の送迎でご一緒するだけの僕にもそんな大変さは伝わってきていて、しかもドクターの人柄なんだろうね、助けてやれるもんなら尽力を惜しまなないぞと思わせる人間的な魅力がある方だからして、氏の気分転換のお手伝いが出来るなら喜んでお付き合いするのだ。
複数台持ちのドクターはSRで行くという事だったから最初は僕もそうしようかと思ったんだけどどうしても乗る気になれず、FXRで行きました。FXRにはETCも付いているしね。
8時30分にインターチェンジ近くのコンビニで待ち合わせ(気温はなんと2℃)、高速で一関まで走ってしまう。当然かなり寒いが、それなりの装備をして行ったのでそれほど辛くはなかった。厳美渓近くの道の駅で西の方にロングに出ていたバイク仲間と待ち合わせ、休憩がてら軽く雑談する。
長旅帰りの仲間も一緒に走る予定だったんだけど、年齢もあるのか(60代後半の方)流石に旅の疲れが溜まっているらしかったのでこのまま家に帰るという事でここで別れて終日2台で走ることに。

紅葉はもう終わりかけていた。この後山越えをして秋田の横手市を経由する予定だったが、山越えの国道はもう冬季通行止めになっていて通る事が出来ず。仕方なく水沢あたりで昼食を食べて帰りますか、という事に。
朝方は出ていた日差しも雲で覆われ、相変わらず寒いがいつだってバイクで走るのは楽しい。今年は8月辺りに急に趣味スイッチが全開で入ったんだけど、思い返すと走れる日はいつもバイクに乗っていた。おかげでV50のレストアは全然進んでいないし、他のベスパ達の整備も溜まりに溜まっているのだけど走りたかったのだから仕方ない。

胆沢ダムで休憩。ドクターが持参した自撮り棒で撮ってくれた。流石にドクターの顔は隠したけど、僕の表情が楽しさを物語っているでしょ?2年前にかけたパーマがヘルメットで伸びてしまって実験に失敗した科学者みたいな髪型になってるけど。笑
このドクター、本当に大変な日々を過ごしているのだけど、暗さは欠片もなく、やるだけやってダメだったら仕方ないじゃないですか、などとカラカラと笑う。僕より九つ年下の方なんだけど、僕は氏のことを尊敬しているし、仕事中やこの日みたいな機会に色々学んでいる。
氏を見ていると、土壇場で人を救うのは知性や理性なんじゃないかと思う事がある。状況を全部背負い込むのではなく、でも行動は常に前を向いていて、なんと言うのだろう、自責と他責の思考のバランスがとてもいい塩梅なんだよな。そりゃたまには愚痴る時もあるけど他責のみのそれと違い聞いていて嫌な気分になる事がない。悪いのはいつも他人、自分には一切の非がない的な愚痴は聞いていて気分が悪くなるけど、これは氏が持つ知性や理性のなせる技なんじゃないかと僕は思っている。本当に皆に好かれているし、僕も大好きな方です。
僕らは人間だからね。本能のままに生きていたらそれは人間ではなくただの動物だよ。

ここから東進して、水沢でカレーを食べ、県道をのんびり走り継いで15時頃解散した。バイクの気持ちよさとドクターが発するいいヴァイブスを全身に浴び続けたいい日だった。

帰宅して熱い風呂に入って身体を温めた。まだいいヴァイブスが全身にあって、このまま寝てしまうのは勿体無いな、と言う事で、いつものバーで一杯やる事に。開店とほぼ同時に入ってひとりで飲んでいると、先日一緒に走った新しい友達がやってきた(ワルいバイクに乗っているS君ね)。
まあ飲んだね、楽しくて。S君に教えてもらったこのバーボンが滅茶苦茶旨くて、オレ今日はエヴァンで通すから!と宣言してパカパカとグラスを空ける。この日もいろんな話で盛り上がり、結局閉店時間までふたりで飲んでいた。オープンラストって奴だね。笑
会計の時にマスターに「お二人ともちょうど10杯ずつ飲みましたよ」と笑いながら言われ、僕らも苦笑。でも楽しい時間はプライスレスだからね。
いい1日だったなあ。AM2時くらいに家に着き、関わってくれた全ての人に感謝しながらベッドに倒れ込み泥の様に眠った。
・最近ちょっと泣いた話
WordPressの仕様なのか、ツリー形式のツイートが単体で貼り付け出来ず少し読みづらいかも知れないけど、この、一人のオタクの死をめぐる小さなストーリーにはちょっと涙が出てしまった。
「生きがい」かあ…。
アイドルと写すチェキって一枚1000円から2000円くらいするんだって。それが1万枚って事は…。
平穏な家庭生活や、買おうと思えば買えた高級車や洒落たマンション、高価な衣類にも興味が無かったストイックな男が、唯一価値を見出したのが推しているアイドルとの交流、そしてふたりで撮るチェキだったという話。
色々書こうと思ったけど、やめた。どうかこの、故人のオタク氏と葬儀に来てくれたアイドル、そして自身もオタクらしい葬儀社の担当の3人が紡いだ小さな物語に想いを馳せてみて欲しい。
僕は2時間くらい夢想した。秋の夜長にはぴったりの時間だった。
ひとつだけ。亡くなったオタク氏の人生が報われたのは、葬儀社の担当の機転と故人が入れ込んだアイドルの子の真心、そして適度な距離感があったからだと思う。ツイ主が言うとおり、素敵な関係性だったんだろうな。
人生は本当に何があるか分からないし、Twitter(X)はSNSの中で一番闇が深いものだと思うけどそれでもROMるのをやめられないのは、ごく稀にこういう素敵な物語に出会えるから。
・最近目から鱗だった話
いつも読んでいる敬愛する鴻上尚史さんの「ほがらか人生相談」。これは過去のアーカイブなんだけど、読み忘れたのか読んだ当時はあまり刺さらなかったのか、再配信された際に読んで目から鱗が落ちまくった。
「公正世界仮説」という社会心理学用語をご存知ですか。僕は知らなかった。僕なりの言葉で言うと、人間の社会における行動や思考を判断・分析するための切り口というか視座、という事になる。簡単に言うと、世界は正しくあるべきであり、正直者は報われ、悪人は罰せられるべきであるという思考、願望の事だ。
面白そうだったのでちょっと調べてみると、これはある種の「認知バイアス」なのだそうで、鴻上さんも「思い込み」という言葉を使って表現されている。貼り付けたリンク先で鴻上さんが平易な文章で説明してくれているので是非一読をお勧めします。
読んで、なるほど、と滅茶苦茶腑に落ちた。
僕自身、世界は公正なものだと信じている方だと思う。割と政治経済の動向には興味がある方で、そういう出来事に触れる際は「できるだけ多くの人ができるだけ幸せになれる方法」に解を求める事が多い。
それ自体は(程度もあるが)公正世界仮説のいい面で、自分を律する助けになるし、より良く生きようというモチベーションにもなる。多くの人が大なり小なりこの概念を信じているから世界は一定の秩序に守られているのだろう。
反面、人というものはその「認知バイアス」や「思い込み」が崩されるような事態に遭遇した場合、その思い込みを守るために他者を攻撃する事もあるというのだ。
割と有名な具体例では、何か「世界は公正ではない」と思わせられるような事件が起きた時、自分の中の公正な世界観を守るために「被害者にも落ち度がある」という思考に陥りがちなんだそうだ。
一見別の認知バイアスに思えるけど、これは表裏一体で、公正世界仮説は言わば「諸刃の剣」なんだという話。
日夜Twitter界隈で繰り広げられる右翼と左翼のつばせり合い。今日もやってんなーと思いながら眺めているけど、これは同じ事象を見ているにも関わらず、双方が信じている「公正」が異なるから意見の相違が一生収まらないんだな、と気付いたり。
水戸黄門のようなドラマが長年愛されるのは、それが現実とは異なる寓話だからなんだという事を再確認したり。
色んな人間の行動は、かなりの部分この仮説に当てはめて考える事ができるね。これは面白いし、大変勉強になった。人生が変わったは少し言い過ぎだけど、この概念を知って僕は間違いなく少し大人になった。
いいものだけど弊害もある諸刃の剣とどう付き合っていくか。それが重要なんだろうな。
恐らく、使い方を間違わなければ公正世界仮説という思い込みを信じる事は悪い事ではない。いい面もたくさんあるのだ。しかしそれはある種のファンタジーなので、それを他人や周りの世界に過度に求め過ぎるのは失敗やストレスの元になる。よく聞く人生訓で「他人に期待するな」というものがあるけど、それはこの仮説を当てはめて説明するとよく理解出来るね。
この事については延々書けそうだけど、まとめるとこういう事になりそうだ。
いずれ、上手く付き合って行かなければならないんだろうね、自分のためにも、周りのためにも。そしてこういう概念があるという事は常に心の片隅に置いておくのがいいのだろう。
何らかの出来事に接した時や人と意見が食い違った時、相手にとっての公正って何なんだろう、と考える事。それが自分の公正とは相容れない時は無理しない程度に我慢するかその事にフォーカスを当てずに付き合う。
そしてそれでも駄目ならその場からそっと離れる勇気を持つ事。
何だかとても大事な事を教えてもらった気分だ。
ヤバい本が発売される様です。
ルーリードの事は大好きだけど、流石にこの本は買わないかな、、、。でもちょっと紹介文を読んだけど、ルーはかなり太極拳に入れ込んでいたようで、武道家と呼んでもいいくらいだったそうだ。
基本的には体験の事を書こうと思っているblogなんだけど、今日は観念的な内容になってしまった。秋だしたまにはいいか。そろそろバイクには辛い季節になってきたし、ゲレンデがオープンするのにはあとひと月ある。
V50のレストアも時間を見て再開しようと思ってるんだけど、最近苦手な家の掃除や片付けを頑張っていてなかなか時間が取れないでいる。まあぼちぼちやります。