SRで八戸に飲みに行く

僕には飲み友達がいて、彼とはもう10年くらいの付き合いになるのかなあ、コロナ禍の頃はお休みしていたけど定期的に飲みに行っていて、ここ2年くらいは月例会と称して毎月一度は飲みに出ている。
彼も僕と同じバツイチ一人暮らしで誘いやすいというのもあり、洋服だったり音楽だったり共通の話題も多いので、毎月気軽に誘って気軽に飲んでいる。

でも、彼(以下F君)もバイク、しかも同じヤマハのSRに乗っているんだけど、何故か一緒には走らない。いつも飲みばかり。笑
実は青森にも若い飲み友達が暮らしていて(以下S君)、いつかそいつも一緒に飲みたいなあって思っていた。S君もSRに乗っているから飲みのついでに走るのもいいよね、なんてたまに飲みながら話していたんだけど、やると決めちゃわないといつまで経っても実現しないよなあと思い立ち、僕とF君が盛岡から、S君は住んでいる三沢からバイクで集合して飲む事を決めたのは先月だったか。

そんな訳で先々週末、八戸までSR2台で走ってきました。今年は走ってばかりだなあ。




まあF君とは今年の冬は一緒にスノーボードに良く行ったんだけどね、突然「買っちゃいました」って連絡が来て、5,6回は行ったかな、普段もっさりしているくせに実は運動神経がいいF君はあっという間に上手くなり、すっかり追い越されてしまいました。
僕が仕事で行けない週末もひとりでゲレンデ通いをしていたみたいで、あんなに何かに夢中になっているF君を初めて見たよ(酒以外で)。




天気予報がイマイチで、正直バイクで行けるかかなり怪しかったんだけど終日雨は避けられそうだったんで気合を入れてバイクで行く事に。
言うて八戸まではそんなに遠くないので10時に市内のコンビニに集合して出発。気温は15℃くらい?秋用のウェアで寒くないくらいのちょうどいい温度。




僕の希望で大坊峠を越えて行きたかったので、とりあえず国道4号線をゆっくりと走る。その先はF君の提案で国道340号線を行く事に決めた。国道340号線は岩手県央を南北に貫く、岩手県の名道のひとつ。葛巻から八戸までの区間は僕も走った事がなかったので、いいねぇ〜って事で賛成したのだが、昼飯を食べる場所がない。葛巻町に旨い蕎麦屋があるんだけど混むんだよね。どうする?とF君に相談すると、胃に入ればなんでもいいと。じゃここでおにぎり食うか、って事でコンビニのおにぎりで早めの昼食を摂る。

最近連れラン続きだけど、信号待ちで並んだ時にさもない言葉を一言二言交わすのがいつもひとりで走っている僕には新鮮だった。F君とはもう10年の付き合いだからね、そういう時に気負いもないんだよね。
友達っていいな、って思った。




紅葉が始まったばかりの大坊峠を越え、340号を北進する。天気は曇りだけどやはり寒くはない。2台のSRが、交互に先頭を交代して単気筒のいい音を響かせながら山道を走る。気持ちいい。
最近めっきり飛ばさなくなった僕は、6割くらいのペースで流すような走り方が心地いいと思うようになった。飛ばすのも楽しいんだけど、カリカリ走るのは長距離だと疲れる。景色や風を味わうようにそこそこのペースで走る。



気持ちよく快調に走っていたが、九戸村を過ぎた辺りで予報通り雨が降り出した。この予報だったから昼飯に時間を取られたくなかったんだけど、八戸まで残り30分というところで雨は本降りに。
F君が「どうします、カッパ着ます?」と聞かれたんだけど、あとちょっとだからこのまま走っちゃおうぜ、という僕の判断で停まらずに走り続ける事に。

程なくして八戸市内に入るが、二人ともスマホナビ無し。ナビ無しだと市街地走行が一番の鬼門なんだよね。先頭を走っていたF君が「ああ、大丈夫、このまま道なりに進んで八戸駅が右に見えたら直進すればホテルに着きます!」と言うから付いて行ったらいつまで経っても八戸駅が見えてこない。
ちょっと待て、なんか変だぞって事でコンビニに入りスマホで地図を確認すると、どこかで道を間違ったみたいでホテルをすっかり通り越していた。

ふたりで大笑いしてもう一度ホテルの場所を確認して再出発。ふたりともオープンフェイスのジェットヘルだったんで顔面ずぶ濡れ、辛いはずなんだけど妙に楽しい。




ちなみにこの日着ていたのは、バブアーのインターナショナル。オイルドコットン生地の、れっきとしたライダースジャケット。厚手のコットンにオイルが浸してあって、防寒性、防水性に優れている。
この日の雨はたかだか30分くらい降られただけだけど、僕はこれを着てパンツまでびしょびしょになるくらいのゲリラ豪雨に当たった事があるが、ポケットに入れていたタバコは湿ってすらいなかった。
正直どういう仕組みになっているのか分からないが、この状態でもインナーは全然濡れないんだよね。不思議。

イギリスではこのバブアーの他にオイルドコットンを用いたジャケットを作っているメーカーが他にもあるくらい(ベルスタッフとかね)メジャーな素材らしいんだけど、バブアーは王室の御用達の証であるロイヤルワラントを取得している伝統あるメーカーらしい。F君もこれを着ていたからカッパ着ないで走り続けたんだけど、着ていたのが皮のライダースだったら道に迷ってゲラゲラ笑う余裕はなかっただろうな。




四苦八苦しながらようやく予約していたホテルに辿り着く。信号待ちでスマホで道を調べているうちに信号が青になり、ポケットにスマホを入れる余裕もなく口に咥えて走ったり、まあ難儀しました。
これは課題だなー、後で話題にもなったんだけど、バイクにスマホナビを付けるのは確かにスマートではない。でも口にスマホを咥えて走るのはスマートなのか?という点では議論の余地が大いにあるよね。笑

ホテルにあった乾燥機で濡れたジーンズを乾かしているうちに三沢から来たS君も合流し、フロントでタクシーを呼んでもらい夜の街に繰り出す。タイトル通り、ここからが本番だ。




待ちに待った乾杯。相変わらず平日は酒を飲まない生活をしているのでこの一杯が至福のひととき。旨い。

三沢から来たS君も元々SR繋がりで知り合った仲なんだけど、もっぱら飲んでばかりで3人で一緒に走った事はない。ちなみに3人のグループLINEの名前は「地獄飲み」だ。笑
地元の大学の博士課程を卒業した秀才で、去年姉さん女房と結婚した由。いい感じのおひとり様夫婦らしく、お互いにひとりの時間を尊重し合っているのでこうやってふた周り近く歳の離れたおっさん達の誘いにも気軽に応じてくれるナイスガイだ。今回ホテルや店の予約も引き受けてくれた。




これは青森名物の貝焼きと言われる食べ物で、ホタテの貝の上に味噌、卵を溶いた出汁汁にぶつ切りのタコを入れ、火を通して食べる。元々は津軽弘前が発祥の食べ方らしいんだけど青森県では定番の料理らしい。僕はこれが食べたかったんだ。旨かったなー。




これはイワシだったかな、ホクホクとした白身が柔らかく、これも本当に美味しかった。
というか、八戸の居酒屋ヤバいです、他の料理も滅茶苦茶旨かった。流石大きな港と市場がある街だ。岩手の三陸沿岸も魚は旨いが、ここまで上手に商売している店はそうはない。
盛岡から近いところだと気仙沼かな、気仙沼ではサラリーマン時代4年働いた事があるけどあの街も良かったなあ。


会話は澱みなく続き、酒もかなりの量が3人の体内に入った。S君、元々いい奴だったんだけど、社会に揉まれて更に人当たりが良くなったな、まだまだ飲み足りないので2軒目の店を探す。
近くに立ち飲みのショットバーがあるらしく、僕以外のふたりはそこにしよう!って盛り上がってる。えー立ち飲み疲れね?と異議を唱えたが、まあまあ1,2杯だけ!と押し切られその店に入る事に。




イケメンのマスターと若い大学生のアルバイトのお姉さんが二人で回している店だったが、まあ楽しかった。当然3人ともウィスキーを飲むのだけど、いつものバーとは微妙にラインナップが違う。
3人の会話は相変わらず澱みないし、21歳のお姉さんには「皆さんイケおじですね❤️」とヨイショされるしで楽しくない訳がない。
何杯飲んだろう、1,2杯って約束だった筈なのに気付けば3時間以上飲み続けた。店内を見渡せば、どうも若くて港町特有のちょっと悪い若者の社交場になっている様で、やっぱり海の街は元気だなあ、って感じた。
というか、僕が住んでいる内陸の街が大人し過ぎるのかも知れないな。もうすっかり慣れてしまったけど、こうやってたまに街を出て飲み歩くのもいい経験になるね。


日付が変わる頃、青森名物の煮干しラーメンの看板に後ろ髪を引かれながらタクシーでホテルに帰る。八戸は朝ラーやってる店が結構あるから明日みんなで食べよう。チェックアウトの15分前にロビーに集合ね、って約束して1日目は終了。とてもいい1日だった。




ぐっすり眠りバッチリ目を醒ます。自慢じゃないが、僕は二日酔いにここ30年くらいなった事がない。結構な量飲んでも次の日に酒が残ることはまずない。でも飲めるのも良し悪しで、って話は最近良くしている通りで、自制しないと肝臓に負担がかかってしまう。
節制しているおかげで、10月の採血の結果γ-GTPの数値は100を切ったけど。肝臓に関してはようやく真人間に戻れた感じです。笑

心配してたんだけど他のふたりも平気な顔をして部屋から出てきたので、予定通り朝ラーを食べて久慈まで3台で走る事にした。


雨上がりの日曜の朝10時の市街地は車も少なく、空気も凜と澄んでいて走っていて気持ちがいい。先頭は僕が走ったが、昨日の失敗を活かしルートを入念に頭に入れたのでスマホを口に咥える事なく目的のラーメン屋に辿り着く。




青森県と言えば朝から食べられるラーメンが有名だ。出汁は煮干し。旨そうな店を早起きして調べておいたのだ。
味は絶品。濃過ぎない煮干しの出汁と醤油のカエシが飲んだ次の日の胃袋に優しく染みる。大満足で食べ終えて近くのコンビニで一服し(ちなみに今回のメンツは3人とも喫煙者)、久慈まで3台で走るラン開始。




仕事のお客様数名から「久慈ー八戸間には大陸感を感じられるいい道がある」という話を聞いていて、でもそれが何本かあるどの道なのか地図を見ても分からず、僕の勘を頼りに一本の県道を選んだんだけどどうも勘は外れたみたいで走ってみたら普通の県道だった。みんなすまん。「幻の大陸」は次の機会だね。
SR3台で走ったけど、3台ともマフラーは違う種類のものが付いている。当然排気音もそれぞれでそれもまたいい。車体もみんなそれぞれにカスタムしてあって、元は同じヤマハSRなのだけど趣はみんな違う。みんな違ってみんないい。それがカスタムの原点だろう、って思う。


3台で気持ちよく走っているうちに気分はナチュラルにハイになってきた。こうやって休日に一緒に遊んでくれる友達がいる。衣食住は十分に足りている。古いがチルい家の住み心地も最高だ。仕事は相変わらず一生懸命やっている。その合間に楽しむ趣味も充実している。月に4回ある週末のうち、なんだかんだ3週は誰かと飲んでいるからね、ありがたい事だ。

ここ数年色々あったが、僕は幸せなんだと思う。最近はまだ描かれていない未来にワクワクしたりするからね、一時期は本当にひどいメンタルだったがここまで回復した。自分で努力もしたけど、助けてくれた少なからずの友達のおかげももちろんある。そういう友達には本当に感謝しているし、恩送りなんて言わずに恩返ししたいなって本気で思っているし、何ならもう始めてる。ひとりでここまで来れたとは1ミリも思っていない。

反面、崖っぷちに必死でしがみついている両手を踏みつけてくる様な者達もいた。余計なお世話だったのかも知れないけど、心からの善意を思いっきりの悪意で返されたりね。その時は随分嫌な気分になったものだったけど、もうそういう関係は全部手放そうと決めた。僕の未来にはもう必要がないからね。
時が経てば、心ある人は全員気付くよ。そしてそういう悪いヴァイブスは発した人間に返っていく。おそらく気付いていないんだろうけど、世の中って上手く出来ているんだよ。




晴れ予報だったのに空は終日曇りで、前日よりも気温も低い。何度も休憩を挟み、タバコを吸いながらバカ話で笑い合い、久慈の道の駅でS君と別れる。またね、今度はもう少し暖かい季節に走ろうね。


さて久慈からどこ走って帰ろうね、とF君と相談する。とにかく寒いので山越えは嫌だよね、海沿い帰れば少しは暖かいんじゃね?という事で三陸道に乗って宮古回りで帰る事にしたんだけどこれが大失敗。どっちみち寒くて気温は10℃くらい。道も景色も単調だから、ひたすら寒さを我慢するゲー。たまらず田老の道の駅に降りて昨日の雨でも着なかったカッパを着込む。
3時間ひたすら寒さに耐え、ようやく盛岡市内に着いて、F君と別れの挨拶をするためにバイクを停める。しかしバイクって不思議な乗り物で、さっきまで辛かったはずなのにふたりとも満面の笑みだ。なんなんだろうねこれは。分からないままにしておくのもいいのかも。

F君、2日間ありがとう!大変楽しい週末でした。




最近ジョニ・ミッチェルばかり聴いているなあ。スピーカーを買い換えたんだよね、中古だけど今度もJBLね。心地いい音過ぎてもう音楽を聴くのが楽しくて仕方ない。
ジョニ・ミッチェルは朝聴いても夜聴いてもいいね、聴いていると意識が澄んでいくのが分かる。音楽の神様に与えられた、素晴らしい声です。






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