東京紀行 前編

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更新の間がちょっと開きました。書きたい事はたくさんあったんだけど、なんだか忙しくてパソコンの前に座る時間が取れませんでした。

8月30日、安保法案に反対するデモに参加する為に国会前に行ってきた。
事の発端は、Facebookでやり取りしている大学生の頃からの、東京在住の友達Kにお誘いを受けた事。何年も同じ釜の飯を食った仲、Kが件の安保法案に反対している事は分かってて、そんなやり取りがFB上で何度かあって。この日の前に、Kが国会前に行ってきたって投稿してて、オレも行きてぇなぁ〜ってコメントしたら「じゃあ来ればいい」って感じで話がトントンと進んで。家族の許可も出たんで、まあちょっくら行って来るか、という感じで深夜の高速バスに乗って東京に向かったのでした。

僕個人的には今回の安保法案とそれを巡る政府の姿勢には断固として反対してて、そういう意味でも甚だ微力ながらせめて意思表示くらいはしなきゃ後で後悔するだろうなっていう思いも当然あったんだけど、わざわざ東京にまで少なくない時間と金を使って行った一番の大きな理由は「今、自分が住んでいる国で何が起きているのか、この目で見たい、感じたい」という事だった。
ネットや各種メディアでは色んなニュースが流されてて、Twitter等のSNSを有効に使えばそれなりに精度のある情報も手に入るんだけれど、やっぱりそれって文字や音声での伝聞に過ぎなくって。油断しているとさらさらと流れていくんだよね、そんな文字や音が。身体に入らずに。それは良くない事だし、やっぱりここぞという時には、身銭切って、自分の足で歩いて、自分の目や耳で見たり聞いたりしなきゃダメなんじゃないか。そして今はそれをやるべき時なんじゃないか。そんな風に考えたんです。

デモ、というと条件反射的に拒否反応を感じる人も多いと思う。60年代安保の頃のイメージもあるだろうし(一部過激な人達が赤軍等過激派となって事件を起こしたりした)、簡単に左翼アレルギーだったりもするんだろう。でも僕は民意を示す為には極めて有効な抗議手段だと思ってる。よく、選挙で選ばれた政府なんだから仕方ないじゃん、デモなんて無駄だし迷惑だ、って言説を目にするんだけど(中にはお前が政治家に立候補すればいいだろとか言う人までいる、極論過ぎ)、それは大きな間違いで、僕らは政府に全権を委任している訳じゃないんだよね。与党だから何をやってもいいって事では断じてない。
例えば経済政策を重視して自民党に投票した人でも、今回の安保法制には反対だって人も多いだろう。というか世論調査を見ると実際にかなり多い。そういう人達の意見を吸い上げて摺り合わせしてこその議会制民主主義だっていうのは僕が勝手に考えた事じゃなく民主主義の大原則だったりするのだ。そういう作業やプロセスを今の与党は全く無視しているから強行採決だって言われるしこれだけ反対の声が上がっている訳。そういう状況ではデモは為政者に対して民意をアピールする一番いい方法だ。ましてや僕は国政選挙で自民党に投票した事は生まれてこの方一度もない様な人間なので、ここで黙っていろっていう方が無理筋なんである。
ちなみに欧米では大学の学費値上げに反対して学生が10万人とか集まってデモするらしいし、行ったデモで効果が無かったらその後はストライキに移行するのが普通らしいです、デモはほんの挨拶代わりらしい。デモなんて特別な事でもなんでもないんだ。

写真 2015-08-31 1 44 26で、SEALDsのコールを引用するならば、「民主主義って何だ?」「これだ!」ってのがこの画像(朝日のWebから拝借)。この画像のフレームに入っている人数だけで3万人、この日は延べで12万人がこの日国会前に集まったみたい。
Kと二人で、初めは列の真ん中位にいたんだけど、その後画像の両端に見える木の下のスピーカーの近くに移り、リベラル寄りの論客や著名人、鎌田慧さんや山口二郎さん、森村誠一さんらのスピーチを聞く(人が多すぎてとてもスピーチのひな壇の前には辿り着けなかった)。音って空気の振動だから、言葉がダイレクトに身体に入ってくる。思い思いにプラカードやのぼりを持ってSEALDsのコールに合わせて声を出す人達、ふと脇を見ればC.R.A.C.のTシャツを着た屈強な男衆が慣れた身のこなしで人ごみをすり抜けていく。その活動家然とした佇まいに凄みを感じたり。
SEALDsの中心メンバー、奥田愛基君のスピーチは、正直で真摯で切実で、切迫感があって胸に響いた。奥田君の事、無責任に色々言う人いるけど、僕が色んな所で見聞きした彼の発言から感じるのはもの凄く聡明な子だなって事。自分の考えや気持ちを素直に丁寧な言葉に出来るからその言葉が人の心を打つ。
で、奥田君が、この日の為にNYから来たんだろうか、坂本龍一さんにマイクを渡した。別に何かのショーやってる訳じゃないけど、ここは気分上がったなあ。色んな人が色んな場所から色んな思いを持ってここに来てるんだなあ、と実感。やっぱり来て良かった。

「タバコ吸いたくない?」とKに水を向けられてデモの列から離れたのは教授のスピーチが終わった頃。仮設の給水所が出ている位の人ごみの、ましてや国会議事堂前に喫煙所なんかある訳もなく、僕とKはタバコを吸える場所を探しながら国会前を後にしたのでした。
長くなったんで後編に続きます。

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