Loser’s Club

今年の盛岡は寒い上に雪が多く、とてもバイクに乗れるような冬じゃない。家の裏に置いてあるハンドチェンジブラザーズも画像のように雪に埋もれて、出すのにも苦労しそうな状態だ。
なので、バイクの事はいったん忘れてスノーボードに熱中しているのは何度も書いている通り。楽しい事この上ないのだが、楽しさの余り去年SRでコケた時に作ったタンクの凹みをシーズンオフの間に直そうとしていたのを忘れてた。あぶねー春まで放置するところだった。




バイクは左に倒したんだけど、倒れる時に僕が膝蹴りを食らわしてしまったようで右側がベッコリと凹んでいる。
僕ピカピカのバイクあまり好きじゃないからこのまま乗ろうかなとも思ってたんだけど、流石にこのくらい凹んでると気分が上がらない。だしこのナロータンク、Loser号の一番のポイントだからなー、やはりここはしっかり直してやろうと決めていたのだ。

自分で直すことも考えたが(それ用の修理キットが売っている)、半端に直した跡が残るのも若気の至りで入れたタトゥーを消した跡みたいでカッコ悪いので専門のプロに依頼する事に。
ウィークデイに仕事が早く終わった日があったので久々にカバーを外して業者に送る画像を撮影、無事に修理を受けてくれる旨を確認した。で、タンクからガソリンを抜いて梱包して発送した。無事直ってきたらきちんと記事にするのもいいね。




先日インスタのタイムライン眺めてたらふと思い出し、もの凄い久しぶりにクランベリーズを聴いた。
クランベリーズは’90年代初頭にアイルランドで結成されたバンドで。昔好きだったんだよね、言ってファースト、セカンドアルバムくらいしか聴いた事なかったけど。

初めは懐かしさだよね、もう十数年聴いてなかった訳だから。あーこの曲フェイ・ウォンがカヴァーしてたっけな、恋する惑星観たなー内容全然覚えてないけど、とかそんな感じ。
そのうち、知らず知らずにヴォーカルの歌声に深く引き込まれている自分に気付く。え?クランベリーズってこんなに良かったっけか??ちょっと待て、ドロレスってこんなにいいヴォーカリストだったっけか、、、

音が耳から入ってくるんじゃなく、感情を直接掌でくすぐられるような感触。これは歌のテクニックとかそういう次元じゃない、このヴォーカリストは何かが常人とは明らかに異なっている。



自然な成り行きとして、僕が聴かなくなったその後を調べるよね、そしてヴォーカルのドロレス・オリオーダンは数年前に故人になっていた事を知る。知らなかったよ彼女が亡くなっていたなんて。

僕が聴いていなかった時期もその才能に見合うくらいたくさんの人に愛されたのだろう、死を伝えるニュース記事のアーカイブに紛れて、故人への愛に溢れた文章に触れる事が出来た。僕はアイルランドという決して豊かとは言えない国に生まれ育った人だという事くらいしか知らなかったけど、生い立ちの事、自身が患っていた病の事etcetc…、今まで知らなかった事を知ることが出来た。

そこでストンと腑に落ちた。そうか、ドロレスもルーザーズ・クラブのメンバーだったんだな、って。





何かに秀でている人は、普通の人、ここでは敢えてレギュラーガイ、という英語を使った方が通りがいいかも知れない(「普通」とか意味わかんなもんね、少なくとも僕はそうだ)、それに、特別な才能がプラスされているより、むしろ何かが欠けている人の方が多いという話を聞いた事がある。例えばもの凄い色彩で絵を描く画家が重度の色盲だったり。そういうケースが多いらしいのだ。
自分に欠けているものを補おうとする行為が結果として一芸になる、という事だね。

ドロレスがそのタイプのクリエイターだった事は、僕が読んだエピソードや歌詞から僕なりに分かった。彼女が亡くなった時、世界中のルーザーズ・クラブのメンバーはみんな手を合わせ、心から彼女の冥福を祈ったんじゃないかと思う。


Loserとは、敗者、負け犬という意味で、好きな名詞だから僕は被っているヘルメットにデカデカとその文字を入れている。
実はこれはダブルミーニングで、元になったLoseという動詞には、なくす、失う、損失する、などという意味があって。欠落者って意味も込めてるんだよね。

で、そんな欠落者達が集う僕の頭の中の架空の団体がルーザーズ・クラブ。参加条件は自分が何か欠けた人間だと自覚すること。

クラブの活動内容は、自分の人生を、自分と向き合いながら正直に精一杯生きる。これだけ。それがクリエイティブなものに向かう人は少数なんだと思うけど、別に笑って怒ってたまに凹みながら自分に誠実に普通に日々を過ごせばいい。傾向としてはメンバーの創作物に過度に傾倒しがちかな、それも欠けたものを補う行動のひとつだから自然な事だよね。

自覚する事によって、日々の暮らしの中で気付きに出会える機会が増えるんだよね。それによって嫌な思いをすることも増えるのがメンバーにとっては諸刃の剣なんだけど(自我を強く持つという事はそういう側面も孕んでいる)、それだって機会を重ねれば人に優しくなれるかも知れない。そうだとすればそれは悪い事じゃないよね。









シェアした動画は、僕がクランベリーズの楽曲で一番好きな曲。映像もいい、バンドが演奏しているのはパブかな、小説や映画の中でしか知らないアイルランドという国の生活が垣間見られる感じがする。
映像に子供が沢山映っているのもいい、同じく映っている大人たちとその表情を比べてみると興味深い。
僕はこのクラブに18歳以下の入会を認めていない。厄介なものを抱え込んだ子供達も多いのだろうけど、その子達には属するべきクラスタが別にあるだろうから。


以上、全て僕の脳内を文字にしたものです。訳分からない人が過半数だと思うけど、もしピンときた人がいるならば、あなたは既にこのクラブのメンバーです。










2 comments on “Loser’s Club

  1. ゆきこ

    入会希望、ヒートウェイヴのファンで、仙台で名刺をいただいたものです。この文章好きです。

    • ヨコチン Post author

      ゆきこさん、おはようございます。
      ありがとうございます、ルーザーってネガティブな響きがある言葉ですが、ルーザーズ・ライフは意外と悪くないと僕は思ってます。お互いに楽しみましょう^ ^

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