2024 GWツーリング

今年のGWは前半戦と後半戦にはっきり分かれている。僕は毎年の事ながら休みは暦通りなんだけど、今年は普段連休はしっかり休む業種も前半は普通に仕事というところが多いようにも見受けられる。
飲みとか人と遊ぶとか、約束をしなければならないアクティビティは後半にまとめてやっつける事にして、前半はひとりで過ごす事にした。
まあ当然行くでしょツーリング。時間あるんだもんね。

本当はSRで青森に行きたかったんだけど、なんと僕のSRは2月に取得するはずだった継続車検が取れていなくて車検が切れているので叶わず(主治医が多忙なんだそうで)。竜飛岬の民宿に泊まってきたかったんだけど、あの辺りは道が細くてFXRは持て余すので夏にとっておく事にして、今回は山形の鶴岡を目指す事に。ちょっと行きたいところがあったので。

天気予報を確認してから1週間前にホテルを予約したんだけど、観光地を避けたからか普通に取れたし値段もそこまで高くなかったな。特に値段については少し心配していたんだけど、鶴岡は大丈夫だった。
これからはこの国は否応なしに外国人観光客を受け入れなければならないと思うんだけど、外国人向けの高級ホテルと日本人向けの従来の値段のホテルとで上手く住み分けてくれるといいな。これだけ通貨が安くなると、恐らくバックパッカー的な旅行者も今後どんどん増えてくると思うしね。




4月27日
AM9:00、いつものスタンドでハイオクを満タンにして出発。
今回はのんびり、がひとつの目標なので、出発時間もゆっくりと。




メットはどれを被っていくか少し悩んだんだけど、去年買った白いオープンフェイスで行く事にした。1泊2日で走る距離もそこまでではないし、気温も暖かいしこれでいいだろうと。後述するけどひとつ大きな理由もあった。
Tシャツの上に赤いプルオーバーのパーカー、その上にデニムのベストを着用。これで全然寒くない。絶好のツーリング日和だ。いつもの県道1号線を南下して秋田県を目指す。




国道と県道を走り継いで、昼過ぎに山形県の真室川町という町に着いた。写真はJR真室川駅の駅舎。
駅の中に産直があって、山の中の町だから山菜がたくさん売られていた。タラの芽が売ってて、買っていこうと思ったら目の前で他の客に全部買い物カゴに入れられてしまい涙を飲む。




ちょうどいい時間だったので昼飯はこの町で食べる事にした。
食堂もいくつも無いような小さな町だったけど、雰囲気のいい店を発見して暖簾をくぐる。




山菜の天ぷら定食も美味しそうだったんだけど、そんなに食欲もなかったので冷やし肉そばを注文。そばもだけど、付け合わせのゴマで和えたコゴミが滅茶苦茶旨くてびっくりした。
でも山菜を本当に美味しいって思うようになったんだなーというのも感慨深かったけどね。来月で54歳になるんだもんな、永遠のオニーチャンも年齢はもうすっかりおじさんです。




何度か道を間違えながらこの日の目的地を目指す。
道は快適、気分も上々。FXRは顔をちょっと向けると自分の顔がバックミラーに映るんだけど、家を出てから150kmくらい走っているので表情もいい感じにヤレてきた。
オープンフェイスのメットを被ってきたのは、実は走っている時の自分の顔を確認したかったのもあった。去年上手くいかない事ばかりで凹んでいた頃は、実はバイクに乗る表情も酷かった。それは自分で気付いてて、やっぱり顔は正直だなって思ったし、これは何とかしなければいけないって強く思ったものだった。
今はもう大丈夫。ミラーに映るのは振動と風で麻痺しているのか、ハトポッポみたいないい表情だ。

ギアを落としスロットルをグッと開けるとFXRは荒々しい音と振動と共に猛然と加速する。ほらハトポッポ、振り落とされないように気をつけろよとでも言わんばかりだ。なめんじゃねーぞグルッポー、こちとら何年バイクに乗ってると思ってるんだ。
馬みたいなオートバイとハトポッポみたいな人間は楽しく田舎道を駆けるのでした。




さて、目的地に着きました。




出羽三山のひとつ、羽黒山にある羽黒山神社。
神も仏も信じていないことを公言してきた僕だけど、最近神社仏閣に何故か強く惹かれるんだよね。特に神社。
敢えてそんなに深くは勉強していないんだけど、昔の人は山や、木や石を信仰の対象にしてきたらしい。信仰の対象として明確な神がいると僕はちょっと引いてしまうというか、オレはいいやって思っちゃうんだけど、アミニズムって言うのかな、土着の信仰は何故か居心地がいい。大地だったり空だったり風だったりに触れるのは昔から好きだったし。

最近はパワースポットなんて言い方をするけど、多分昔の人たちも山や石に同じことを感じていたんじゃないのだろうか。昔は科学も無かったからね、荒ぶる自然に翻弄されながら五穀豊穣を願う気持ちの拠り所が必要だったのは何となくだけど想像出来る。




敢えて勉強してないって書いたのはその通りで、大昔にも頭のいい人はいたのだと思うけど、それ以上に読み書きも出来ない人の方が圧倒的に多かったんじゃないだろうかと想像する。そっちの側に立ちたいというか、それでいいんじゃないのかなって感じているというか。
だから僕も理詰めではなく何となく不安だからとりあえず祈る。パソコンに向かって文字を打ちながらそんな取り止めのないことを考えている。

だし、そういう言い方をするならば僕にとってはバイクに乗って感じる風だって立派な信仰だとも思う。
風はいつまでもそこにあるものじゃなくてあっという間に過ぎ去ってしまうものだけど、それも自分らしいと思えば自分らしいし、そんな乗り物に乗って大昔の人々が作った心の拠り所を訪ねるのは悪くない。




神社には杉が植えられているけど、それにも意味があるんだって。神様が地上に降りてくる時、真っ直ぐに天に伸びた杉の木に沿ってくると考えられていたんだそうな。




いいところでしたよ、羽黒山神社。今回僕が訪れたのは山頂にある神社だけど、少し離れたところには山門や雰囲気のある石段、その奥に五重塔があるみたい。バイクで行くと履き物がブーツだったり汗をかくと身体が冷えたりがあるから、こういう場所をゆっくり見たいなら車で来た方がいいね。
この時期は雪でまだ行けないんだけど、出羽三山のひとつの湯殿山神社もいいところらしいし、これはまた来たい所だな。




鶴岡市内のホテルにチェックインし、近くの居酒屋で晩飯がてら一杯。ホウボウという魚がいる事に驚いた。ホーボーみたいに生きるにはまだまだ修行が足りないな。
とても親切なお店で、料理も美味しいしいい時間を過ごさせて頂きました。




4月28日
AM7:00に起きてホテルで朝食を食べる。一階にある食堂に降りた時には僕の他に3台いた他県ナンバーのバイクは既に出発しているようだった。僕はのんびりしてるなって思うけど、ホテルから30分くらいの酒田市にあるこの日の目的地は9時にならないと開かないのだ。まあゆっくり行きます。




この日の目的地は、酒田市出身の写真家、土門拳の記念館。一度来てみたかったんだ。




展示内容はその時によって変わるようだけど、立派な建物の記念館だった。
土門拳も仏閣に魅入られていたようで、山奥の小さな寺院の写真を真冬に撮りに行ったり、晩年は身体が不自由だったらしいんだけど、弟子に重い機材を運ばせてまで撮影に通ったらしいから本物だね。

しかし、いい写真ってどうやったら撮れるのか本当に分からない。いい写真の手前には「上手い写真」というものがあって、それは機材の使い方さえ覚えればある程度出来そうな気はするんだけど、本当に人の心を動かす写真とはそういうものとは次元が違うように僕には見える。
音楽に例えればそれはギターの速弾きみたいなもので、目の前で速く弾かれてもすごいなとは思うけどそれで人生は変わらないよね。人生を変えるギタープレイというものはそれとは別次元に確かに存在するのを僕は知っている。

土門拳の写真もそれに近いものを感じたな。館内で売っていた写真集、傷つけずにバイクに積んで帰る自信が無かったから買わなかったんだけど少し後悔している。




さて進もう。
酒田市内で国道7号線に乗り北進する。港のある町は道路が広くていいね。片側2車線の信号のない道をいいペースで走る。
時折表情チェックも欠かさずにやる。よし、しっかりハトポッポだ。

今回のルートはずうっと山を見ながら走っているな、昨日は飯豊連峰と月山、この日は鳥海山。雪が残った御山を眺めながら走るのは気持ちがいい。




そのうちに左側に海が見えて来た。この時期の日本海はとても穏やかで優しい雰囲気だ。天気も良く気温も適度で、そのせいか何台ものバイクとすれ違う。
きっとみんな気分良くなってるんだろうね、対向車線から送られるヤエーの数が半端ない。僕はヤエーに関しては、自分からは積極的に送らないけど送られたら必ず返すというスタンスなので、対向車線にバイクが見えるたびに少し緊張して相手の左腕を注視する。

僕のFXRは顔面がちょっと怖いから、ヤエーするのもちょっと勇気いるんじゃないかと思うけど、まあ運転しているのがハトポッポだからな、プラマイゼロみたいな感じなんだろうか、数え切れないくらいたくさんのヤエーをやり取りした。オープンフェイスのメットで来て良かったよ。




あまりに気持ち良すぎて昼飯を食べるタイミングを逃した。腹へった。
良く行く道の駅いわきで食べる事にする。大きな道の駅だから車は停める場所がないくらい大混雑で、バイクの台数も多かった。7〜8台のおじさんの集団、ソロでロングに来ていると思しき大荷物のハーレーのダイナ、タンデムの若いカップル、バイクもウェアもビシッとキメたカワサキZの2台etcetc…
そんなちょっとしたカオスの中、昼飯を食べて更にヤレたハトポッポはハト的な何を考えてるのか分からない目つきでバンバン煙草をふかす。バイクに乗っていればみんないい奴とかは1ミリも思わないけど、何故か煙草の副流煙は気にしなさそうな雰囲気はあるな。今は吸っていないにしても昔絶対に吸ってたんだろうし。
そのくらいには自由な空気を感じながら、山越えに備えて持って来ていたコーチジャケットをくわえタバコで着込む。




朝の予定では秋田市をまわって帰る予定だったんだけど、時間と気力を考えて秋田県道44号線を走って内陸に出て、そこから国道46号線で岩手に入る事にした。
46号に入って間もなくの道の駅で休憩。そろそろ疲れてきた。




喫煙所を探してうろうろするが見つからない。代わりに見つけたのがこの張り紙。OMG。
不思議なもので、周りにいる家族連れや老夫婦を見ていると、自然と自分が招かれざるスモーカーなのが実感出来て、敷地のはずれまでてくてく歩いて行って火をつける。
螺子者だと思われるのには慣れているから別に苦でもないんだけど、逆に喫煙所を作ってくれている施設やコンビニに感謝の念を覚える。吸い殻の回収や灰皿の掃除だって結構な手間だよ、だし、紙巻のタバコは実際かなり臭いしね。
吸わせてもらってる事にも感謝しなきゃいけないんだろうね。




国道沿いのコンビニで最後の休憩。だいぶ陽が傾いて影が長くなってきたし、疲れのせいか表情もハトポッポを通り越してお地蔵さまみたいになってきた。虚無。
休憩のたびにコーヒーばっかり飲んでいるからトイレが近い。おじさんの尿意は突然マックスに達することも多いから油断も隙もない。マメに用を足すことが肝心だ。

もういい時間なんだけど、多分日帰りツーリングなのだろう、対向車線からのヤエーは止む事がない。こちとら托鉢する元気も無くなった虚無僧みたいなメンタルなんだけど、頑張って返しているうちに無事家に着いた。




総走行距離490km。事故トラブル無く無事に帰って来れた事に感謝。
いい旅だった。お疲れ様でした。次はSRで青森かな。








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