男ふたり旅

旅に出る事にした。目的地は新潟県の海沿いの某所。
初めは一人で、車中泊しながらのつもりだったんだけど、その話を聞きつけた友達のつとむっちが「俺も連れて行ってください!」と参加を表明したので、男ふたりステップワゴンに乗り込んで日本海を目指す事に。

疫病のおかげでガッツリ県外に出るのは本当に久しぶり。詳細な予定は特に決めず大まかな絵図だけ描いて出発した。そんな男ふたり旅の様子を画像多めでお送りします。




22日AM9:30、ステップワゴンのガソリンを満タンに、トリップメーターをゼロにして自宅を出発。旅の前はいつもワクワクするね。




AM10:00、つとむっちをピックアップ。パッとしない天気の中一路新潟を目指す。
車内の会話はいつも通り、くだらないバカ話からちょっと真面目な話まで澱みがない。ふたりでゲラゲラ笑ったり、時には深刻な顔をしたり。




東北道で仙台まで行くつもりだったんだけど、諸事情で時間が出来たためフルで下道を行くことに。宿泊予定の新潟市までは500kmないくらい。まあ余裕でしょ。
最近は日没が早いから天気がちょっと心配だけど(雨の中知らない道を走るのはちょっと疲れるお年頃)、しても仕方のない心配だからねー、出来ることはただひたすらにステップワゴンを前に進めることだけだ。




PM16:00、初日唯一の目的地、山形県南陽市にあるラーメン屋に着く。学生の頃に食べたっきり30年くらいご無沙汰している。何でも今は横浜のラーメン博物館にも出店している人気店なのだとか。
時間が絶妙に微妙だったので並ばずに入れた。つとむっちは並ぶのが大嫌いだから助かった。




これこれこの味。懐かしい。思い出補正抜きにして美味しかった。今や休日には全国から客が集まるのだという。
僕たちが食べ終わって店を出る頃には店の外には行列が出来始めていた。タイムロスなしに食べられたのもラッキーだった。




この後山を越え新潟県に入り、強まった雨の中まるで高速道路のような国道7号線を突っ走り予約してあった新潟市内のホテルにPM8:00にチェックイン。タバコとトイレ以外休憩らしい休憩をしなかったので流石に少し疲れたな。
助手席のつとむっちには「ヨコチンさんってほとんど休憩しないよね!」と驚かれたけど、歩くよりも運転している方が楽なんだよね、職業柄。




で、宿の近くの居酒屋で乾杯。運転って大して身体を使わないのに何故か腹がめちゃくちゃ減るんだよね。つまみをつつきながら飲んだビールの旨かった事といったらなかった。
特に大きなトラブルもなく1日目は無事終了。ベッドに入って泥のように眠る。




23日AM7:30、宿を出発。旅の目的地を目指す。天候は不安定で風が強い。ほぼ30年ぶりに見る新潟の日本海はひどく荒れていた。
約束の時間があるので海を眺めるのはクルマの中から。




出発から1時間ちょっとで、目的地のガレージに到着。




ラビットがたくさん。




二柱リフトに上がったサニーGX5。手前にチラッと見えるテールはスズキバンバン、奥にはホンダスカッシュ。




センス良くパーツが飾られた別棟にはバイナルトップのローレルGXと…




さらにB110サニークーペ。この2台はナンバーが付いており実働だとの事。




エンジンルームもバッチリ仕上げられている。綺麗なだけじゃなく、細部まで「分かってる」仕上げ方。コーションラベルの類も上手く残して塗っているね。




テンション爆上がりでローレルのエンジンルームを覗き込むつとむっち。SUツインにワンオフのステンのタコ足。こちらもボンネット裏のコーションラベルが残されている。センスいいなあ。




このガレージの主のK君はなんと33歳。好きなものに対する愛情と行動力、その若さからはちょっと想像出来ない造詣の深さは素晴らしかった。いいものを見させて頂きました。




で、この度何故遠路はるばるこんな素敵なガレージを訪問したかというと。
僕がK君からラビットを譲ってもらい、それを引き取りに行ったんです。そう、僕の新しいオモチャ。
詳しくは近いうちに別項を起こすけど、オリジナルペイントの雰囲気のいい個体。少し手を入れなければいけないコンディションだけど、むしろそれも魅力だった。




ステップワゴンにラビットを積み込み、後ろ髪を引かれる思いでK君のガレージを後にする。K君には「失礼ですけど、お二人からは僕と同じ変態の匂いがします」という最上級の褒め言葉を頂いた。今後も何かの形で絡みがありそうな予感がする程イカれた若者だったなあ。




さて、もう予定はない。ゆっくりと岩手に帰ろう。
天気の晴れ間を見て大荒れの日本海の写真を撮ったり。晴れたと思えば土砂降りになったり、不安定な事この上ないこの日の新潟の海沿いの天候は風が半端なく強かった。

それでも素晴らしい若さと出会った嬉しさで僕達ふたりのテンションは最高で、いやーすごかったね、あれ見た?見たみた、なんであんなに若いのにすげーセンスなんだろうね!とか口々にガレージとK君の事を話しまくる。


そんな中、突然つとむっちが「あ!ヨコチンさん危ない!!」と叫んだ。


へ?と思ったら、風に飛ばされて来たのか、道路の真ん中に逆さT字型の障害物が落ちている。うわっと思ったが避け切れず、左のフロントタイヤで思いっきり踏んでしまった。
やばいね、パンクしたかな?ちょっと停まって点検しよう、とステップを路肩に寄せて停めるとやはりパンクしている。ありゃー。

強風の中ふたりでスペアタイヤと交換する。タイヤはトレッド面に目で見て分かるくらいの大きさの穴が開いていた。
修理出来るかな?とりあえずガソリンスタンドがあったらそこで見てもらおう。スペアのテンパータイヤは100kmくらいの距離しか走れないから、修理出来なかったらせめて後輪に移そう。




程なくして道中にあったスタンドで診てもらうと、何とか修理出来そう、との事。でも大きめの穴だから、念の為に修理したタイヤは後輪に履かせましょうね、と言われた。
はいお願いします、って作業してもらい、会計を頼んだらなんと2000円。え、安っ!!
ありがとうございました、と頭を下げてガソリンスタンドを後にする。



帰りのルートはiPhoneのカーナビアプリに全てお任せで、有料道路を使わない設定で検索したら秋田県の由利本荘まで北進する道を示された。この動画は風光明媚で有名な山形県の笹川流れのもの(つとむっち撮影)。強風波浪警報が発令されていた海上はものすごい風と波で、道路まで波しぶきが吹きつけている。荒れた日本海も冬の東北の名物ではあるけど、実際目にすると自然の猛威をひしひしと感じた。

しかし、風の音で聞こえづらいけど、僕とつとむっちの会話の幼さといったらまるで五十路のものとは思えない。普段僕らはこんなテンションで会話しているのか。笑うわ。

でも、僕らふたりには車やバイクといった共通の、しかもしっかりとしたベースがあるから会話には困らない。K君のガレージで刺激を受けたつとむっちは自分のサニトラを仕上げる気マンマンらしく、帰り道はもっぱらその話題だった。僕、経験はないけど国産旧車の世界は知らなくもないので、つとむっちにあれこれレクチャーしながらの道中だった。今朝LINEがあり、行動力が半端ないつとむっちは早速A型エンジン用の5速ミッションを手に入れたらしい。



秋田県の由利本荘から内陸に向かった辺りで陽はすっかり落ち、結構な雨の中不慣れな道を進むというなかなかのバッドコンディション。流石の僕たちも疲労のあまり会話がおぼつかなくなってきた。
でもふっと振り返ると、すぐ後ろの荷台にはラビットがこのツラで佇んでいる。眺めているとほっこりする事この上ない。いやーこのお面の癒し力は半端ないわ。

湯田ICから無料開放されている秋田道に乗り、北上西ICで降りる。ようやく岩手だ、あと一歩。
走り慣れた県央の道を走りつとむっち宅に到着。二日間遊んでくれてありがとうございました、つとむっちと遊んでなかったらラビットを手に入れる事もなかったと思います、ときちんと礼を言い別れる。親しき仲にも礼儀ありなのだ。




そして30分後、何とか無事に自宅に帰り着いた。PM8:00。総走行距離973km。走ったなあ、しかも下道オンリーで。
笑いあり感動ありちょっとしたトラブルありの、楽しい旅の記録でした。







3 comments on “男ふたり旅

  1. けんじろ

    どもっす。

    久しぶりの長文、笑いありトラブルありで読み応えがあり、質の良いロードムービーを見終わった後のような爽快な気分になりました。

    今後のラビットの手直しも楽しみにしてます。

  2. けんじろ

    それにしてもすごい若者ですね。

    財力もさることながら、やはりその行動力に呆れます(褒め言葉)

    • ヨコチン Post author

      けんじろ、久しぶりの旅、めっちゃ楽しかったよ!バイクもいいけどクルマで誰かと遠出するのも楽しいんだなあって気付いたりしたなあ。
      K君ね、すげー奴だったよ。多分旧車人気で値段が上がる前に買ったんだと思うけど、オレが譲ってもらったラビットも修理代捻出が理由だって言ってたなあ。

      ま、君も十分イカれてるけどね。笑

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