ET3のエンジン焼き付き修理 その4

トップ画はパソコンの奥底から発掘された30歳の僕です。痩せてて若いね、当たり前か。
20年前かー。まだ未来の方が過去より長かった頃だね。もうとっくに人生は後半戦。なかなかに締まらない人生だけどクッソ生きてやるぞちくしょう。



さて、ボーリングを依頼したシリンダーも仕上がってきてET3のエンジン焼き付き修理も佳境に入ってきました。今日は一日フリーだったのでガンガン組んで行きます。
ピストンのクリアランスは職人さんに「いい塩梅でお願いします」と依頼したんだけど、職人さんの塩梅は0.07mmだった様です。指定値よりもだいぶ狭いね。まあ職人さんを信頼するしかないでしょう。





ピストンやシリンダーのポート類はそのまま組まず、軽く面取りをして組む。ホームセンターで良さげなヤスリを発見。600円くらいだったかな、長さが短く、何てったってダイヤモンドヤスリだ、鋳鉄のシリンダーも良く削れそう。




この作業もやった事ないので、古いピストンを参考に面を取る。件のヤスリのサイズ感はこんな感じ。
古いのと新しいのを交互に指で撫でて、ピストンのスカートを中心に削っていく。今まで付いていたのはピアジオ純正品だと思うけど、かなりしっかり面が取られていた。
やはりこのヤスリいい感じだ、アルミなんかはサクサク削れる。




シリンダーのポート類も同様に作業。スペース的にヤスリを入れ辛いし素材も鉄だからピストンの作業より数段大変だったけど根気よく丁寧に。
でもやはりヤスリの選択は大成功だったみたいでよく削れる。頑張れ自分。




次はピストンリングのギャップ調整。
先日ウガガさんがblogでこの動画をシェアして、これが正しいリングギャップの調整方法です、と教えてくれた。

が。
このSSTめちゃくちゃ高いんですよ、サッと探しただけだけど3万円とかするの。年に何機もエンジン組むようなプロ、もしくはプロはだしのプライベーターならともかく、多分生涯数回しかしない僕にはあまりに高価なツールだ。
でもベスパ のエンジンを組むにはリングギャップの調整は必須。どうしよう。

で、考えた結果作り出した自家製SSTがこちら。




スクレイパーの両面に#400の耐水ペーパーを貼り付ける。こいつでもって…




こんな具合に擦ってやる事に。
リング折っちゃったらおお事なのでこの作業も慎重かつ丁寧に行う。耐水ペーパーの番手の選択も良かったようで順調に作業も進み…




トップリングも…




セカンドリングも無事ギャップ調整終了。規定値は0.2mm~0.35mmのようで、僕はちょっとユル目の0.2mmに調整した。ちゃんと測ると多分0.21mmとかだと思う。ピストンのクリアランスも少なめだし、慣らし運転はしっかりやってやろう。




ここまでは極めて順調に作業は進んだ。ずっと頭の中でシュミレーションしてた通りに、トラブルもなく。

…結果から言うと、今日すべての部品を組み上げ、緊張のファーストキックまで行き着いたんだけど、エンジンは掛からなかった。
キチンと圧縮はあるし、ピストンとシリンダーの摺動も上手く行ってる感触はあったんだけど初爆がないのだ。なんだこれ。
調子の悪かったフューエルコックを新品に交換したんだけど、原因はそれかなあ?いや、燃料はちゃんと流れている。キャブまで燃料が行ってない?キャブを外して確認するもフロート室はガソリンで満たされている。点火系は触ってないし、プラグ替えてもダメ、何なら目視で火花もちゃんと飛んでいる。
キックを踏んでもギアを入れて押しても圧縮は感じられるのに初爆がないのはいかにもおかしい。

もうこの時点で疲れ果てていて、もうダメ、検証は後日に、って事で後片付けした。疲労もあったけど、まるで大好きな女の子にフラれたみたいな状態?飯は喉を通らないし、何が悪かったんだろう?ってずーっと考えてた。

で、風呂にぼーっと浸かりながら2ストロークエンジンの仕組みを考え直していてはたと気付いた。慌てて風呂を出てパソコンの前に向かい検索をかける。やはりそうか。




iPhoneのカメラはしっかり記録していました。これ、ピストンの向き前後逆だよね(画像右がフロント方向)、、、、、

何故か、本当に何故か、ピストンの穴は排気ポート側だよな、って考えながら組んだのを覚えていて、でもそれって仕組み的におかしくね??って風呂の中で気付いて、、、
ピストントップにはちゃんと向きの刻印があるんだよ?こっちがフロント側ですよーってちゃんと彫ってある(8/2追記:ピストンの刻印は「エキゾーストポート側」を指すもののようです。いずれにせよ僕は前後組み間違えていましたが)。なのに思い込みで逆に組んでしまう僕クオリティ。人生においても結構頻繁に、肝心なところで信じられない大ポカをやらかす僕の真骨頂って感じですな。

本当はこの失敗は秘密にしておいて、数日後にジャジャーン完成でーす!ってやっても良かったんだけど、まあカッコつけても仕方ないし晒す事にしました。




明日、早起き出来たら組み直す事にします。起きられなかったら水曜日以降だな。情けない週末。やけ酒飲んでます。トホホ。




続きます。






2 comments on “ET3のエンジン焼き付き修理 その4

  1. Turn-X

    ずいぶん長い間バイクと縁のない生活をしていたので、そういえば古い2ストは焼き付くんだったなあとか思いながら見ています。
    特殊工具とか測定器具のたぐいはどこまで手を出すか悩みますよね。
    あれば仕上がりや効率は確実に良くなるし、ないとそもそも作業できないこともあるけど、あまりにも割高なことが多いという。
    作業もうまくいかないと、頭に来てかえって余計なことをしがちなので(自分はしばしばよくやる)、どうぞ落ち着いてやってみてください。

  2. ヨコチン Post author

    エンジンは古かろうが新しかろうがヘタ打つと焼き付くよ。笑
    SST問題、ここ10年ちょっと、ストレートやアストロプロダクツ、モノタロウなどのショップが出てきたくらいから随分解消された気はするけどねコスト面。
    今回ピストンリングコンプレッサーも用意したんだけど(結局使わなかったけど)、1000円しなかったからなー。

    ご心配ありがとう、だが50年間負け続けてきたオレは、失敗の後のリカバリのマナーを骨身に染みて身につけているので多分大丈夫。
    そのマナー知りたいかい?「自分が正しいと思った事を、自分を信じて淡々とやる」。それだけです。
    まあ当然リカバリ出来ない失敗もあります。それは、まあしょうがない、と清く諦める。それも自分を信じてないと出来ないけどね、健康に生きるコツですな。

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