2023盆ツーリング1日目・やる気元気イワキ

今年の盆休みはなかなかメリハリがあってよろしい。
まず前半3日は祝日・土日が上手く絡んで心置きなく休める3日間。で、昨日14日は仕事、今日は休みの16日は半日仕事。退屈したり時間を持て余さずに過ごすことが出来る。
で、心置きなく休める前半3日に旅に出る事にした。初老のおっさんの夏休みを満喫するのだ。

という訳でFXRにまたがり南に向けて走り出したのでした。




1日目の目的は、国道6号線を走ること。去年まで二輪車の通行が規制されていて走れなかったんだよね、放射線の線量が高くて。それが走れるようになった、と。
地震とそれに伴う事故により破壊された発電所からは今だに量は減ったとはいえ放射性物質が垂れ流されていて、収束の見込みは立っていない。というか、多分僕が生きているうちに収束はしない。専門家だってそんな事にはとっくに気付いているんだと思うんだけど、大人の事情なんだろうね、敗北宣言も僕が生きているうちは聞くことがないだろうと思っている。

いずれ、見ると聞くとは大違い、なのである。僕は自分の目で見たいと思ったので、当時被害を被った南端の街であろういわき市にホテルを取った。6号線をバイクで走ってみれば12年の歴史と現状の片鱗だけでも俯瞰出来るかも知れない。

あと、土地の魅力も感じたかった。とりあえず旬の桃食いたいなあって。

いつものスタンドでハイオクを満タンにして出発。




東北道金成PAで最初の休憩。割と早く出てきたからまだ暑さは然程でもないけど、この晴れ具合だと10時過ぎたら灼熱だろうな。

高速道路の走り方は前もって予習しておいたんだけど、快適そのもの。大きな車体と長いホイールベース、過不足ないパワーで制限速度プラスアルファでの巡航を余裕でこなす。反対側の下り線は平泉を過ぎたあたりから酷い渋滞だったけど、上り線はリミッターが付いていて90km/h以上出せない大型トラックが少ないせいか普段より走りやすいくらいだ。




アメリカ製のクロームって綺麗だよね。S&Sのキャブレターとエアクリーナーカバーはハーレーの準純正部品と言っても言い過ぎじゃないと思う。




泉インターチェンジで東北道を降りる。国道4号線仙台バイパスをバイクで走るのは何十年ぶりだろう。
渋滞って程じゃないけど休日だからか流れが悪い道路を走りながらキョロキョロすると、僕の地元だった頃からずいぶん変わっている事に気づく。
バイパス沿いだからフェラーリやマセラティなんかの超高級外車のディーラーが目立つ。何度か書いているけど、経済的には仙台は東北では独り勝ちだと言われていて、それがこういう所に現れるのだろう、買える人がいなければ店だって出来ないのだろうから。

千代大橋を渡り、名取市に入ったところで2回目の休憩。




随分暑くなってきて、そのせいか食欲がない。でも食べないと持たないのでチビチビと水分と一緒に補給する。しかし暑いな、、、。




県境を跨ぎ、福島県に入る。走っているクルマもぐっと少なくなり多少生き返る。風に当たっている分にはそれほど暑さには苦しめられない。




しかしこの空の青さは一生思い出に残るなあ。




国道から海の方に少し折れたところに、道の駅ならぬ浜の駅松川浦があった。休憩がてら、桃売ってないかなあと物色する。
果たして、箱入りのお土産用の桃を売っているおじさんを発見。旅の者なんですが一個だけ分けてもらえませんか?と交渉してみたら、売り物にならない痛んでいるので良ければ、という事で2個で100円で売ってもらえた。わーありがとう。




福島の桃、めちゃくちゃ美味でした。水分も糖分も補給出来たし、今日の昼飯はこれでいいや。




松川浦とは風光明媚な潟湖で、海岸と潟湖の間に道路が通っている。初めて来たけどすごく綺麗なところだったなあ。ヘルメットの中でイエー!!!と絶叫しながら走る。気持ちいい。気持ち良すぎる。




気持ちよさの片鱗だけでも伝わるかなー?最高だったー。






だけど気持ちよく走れたのはその辺までだった。
その後6号線に戻りさらに南下すると双葉町の辺りで景色が変わった。人気のない建物がそこここにあるのだ。廃墟と言うほど荒れてはいないけど、人の手が入っていない草木が伸び放題に伸びている。
12年前の原発事故で人が住めなくなった地区なんだな。

空き家はたくさんあり、築年数がそれほど経っていなさそうな家が植物のツタに覆われている光景に言葉を失う。
双葉町は割と最近帰還が許された地区で、画像の病院の向かいには新築の家が建っていて人も住んでいる様。放置された建物とのコントラストがこの土地にゆかりのある人たちの、原発事故の後の心の葛藤を現しているようで、さっきまでの楽しい気分は吹き飛んでしまった。




これ、わかるかな。ともす電力を太陽光で賄っている体の街灯。この町の人はどういう気持ちでこれを作って設置したのか。想像すると苦しくなる。
津波で破壊された発電所で作られていた電力は地元では使われず、送電線で関東に送られていたというのに、、、。




、、、、、。




気を取り直して旅を続ける。
汗まみれになりながら、大熊町、富岡町、楢葉町、広野町を通過していわき市に入る。
昔、一度だけ来たことがあったけど、結構大きな街なんだよね。人口だけで言うと僕が住んでいる盛岡市よりも多いくらいだ(いわき市34万人、盛岡市28万人)。
予約したホテルは駅前にあるからとりあえず駅を目指し、信号待ちでキョロキョロするとすぐに見つかった。
チェックインして、ホテル裏のスペースにFXRを停め、鍵をもらって部屋に入る。ふー、やっと一息つける。シャワーを浴びてベッドに倒れ込むと生き返る様だった。やはり暑い時期のツーリングは体力が削られる。

結局この日は330km走った。うち200km弱が高速道路での移動だった事を考えると大した距離じゃないとも思うが、まだ旅は2日残っている。全体力をここで使うわけにはいかない。




夕方になり、一杯やりに外に出る。海の街だから海鮮が食べたくて、事前に調べていた店に行くも予約で満席。もう一軒でも袖にされ、仕方なく目についた店に入る。
こんちわ、と店のドアを開けると、誰もいないカウンターで大将が暇そうにタバコを吹かしていた。ありゃこれは地元民が集まる場末の店だな、と判断、大将は大将で、ありゃ観光客が来やがった、という顔を隠さない。
一度開けたドアを閉めるわけにもいかず、狭いカウンターに腰をおろしてビールとつまみを頼み、大将と雑談しながら飲む。結果的にそれが良かった。地元の人しか分からない当地の話を聞けたから。

大将はそんなに饒舌な人ではなかったけど、例えばこの日見てきた双葉町は帰還の許可が出た後も8割の元住民は帰らないことを決めた、とか、いわき市は3月11日の後の4月12日に大きな余震がありその被害も結構あった、とか、街の大きな港に魚を水揚げすると産地が福島になって売れなくなるから余所の港に揚げている(から港の漁獲量が大きく減った)、とか、興味深い話をボソボソとしてくれた。

明日は教えてもらった、塩屋崎というところにある灯台に行ってみる事にしてお礼を言って店を出た。
美味しい食べ物を食べた時よりもいい時間を過ごした気がした。






遅ればせながらすっかりハマっています、新しい学校のリーダーズ。
少し前からSNSのおすすめに何回も出てきていて、なんで僕にこんな女の子達すすめてくるんだろうと思ってたんだけど、流石AIさん、鋭いです。

コンセプトは
「模範的なヤツばかりが評価されるこの時代、くだらない不寛容社会から、個性と自由ではみ出していく」
なんだって。カッコいいよね。

この旅の間も毎晩聴いてました。







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