2022秋の小旅行

思い立って、旅に出ることにした。
と言っても一泊二日の小旅行ね、いくつかの目的が合わさって、旅に出て2日間を過ごすヴィジョンがパッと見えてきたんだよね、これは動く時だと。

距離的にはさほどでもないからバイクでともちらっと思ったんだけど、季節は晩秋の東北、峠越えは慎重にならざるを得ない時期だから修理が済んだばかりのステップワゴンで出かける事に。何せ毎日峠を越えているゴト車のヴェルファイアは今月頭にスタッドレスにタイヤ交換している、いつ雪が降るか分からないから。
降らないにしても峠の気温は昼間でも絶対に一桁、僕の貧弱な装備では無理かな、と判断。まあ正解だったね。




2022年11月19日、一泊分の荷物をささっとパッキングするだけで家を出る。
出発前にいつものスタンドでガソリンを満タンにしてからトリップをゼロセット。さあ行くか。
目的地は、山形県。




同行者もいないからいつもの通りズンズン南進する。休憩は、トイレに行きたくなった時にタバコを吸うくらい。これもいつもの通り。




今回の旅にはいくつか目的があって。その一つが、旧友の「山形の仙人」に会う事。

知り合ってもう20年以上だよね、昔フォルクスワーゲンってクルマに乗っていた時にそれがきっかけで。当時は奴はシステムエンジニアが仕事だったのかな、随分昔に独立して、ワーゲンをメインに扱うフリーのメカニックをしている。それを20年くらい続けているのかな、几帳面な性格と確かな腕、憎めない人柄で地に足をしっかりと付けて、自分の腕一本で生きている。

引っ越しの時にもう使わないワーゲンのパーツが幾つか出てきたんだよね、いずれもVW純正部品だったので、まあ奴が必要か分からなかったんだけどそれも渡したくてね。




3年ぶりに会う仙人は、変わってなかったな、相変わらず人懐っこくて憎めない人柄。この人物評は3年前と変わってなくて、その時もほぼ同じ事を書いている。

今回もこっちから押しかけたのに蕎麦をご馳走になってしまった。旅の目的のひとつに「山形の蕎麦を食う」があったからこちらも達成。




待ち合わせ場所からほど近い、仙人の仕事場に移動して雑談タイム。近況報告やら何やらで話題は尽きず、あっという間に2時間余が経つ。蔵王温泉にホテルを取ってるんだって話したら仙人は「雪降ってればいいな〜」とか憎まれ口を叩く。わははは、うるせえよ。

再会を誓って別れる。またね、お互い生き抜こう。




途中で酒とつまみを買い込みながら宿泊場所の蔵王温泉を目指す。すっかり日が短くなったね、まだ5時前だよ。




すっかり日が落ちた道中で夜景の絶景ポイントを発見。しかしバイクで来なくて良かったな、この暗さと気温、慣れない道できっと往生していたと思う。




蔵王温泉に来るのは25年ぶりとかなんじゃないかな、強烈に硫黄臭い強酸性の湯が特徴なんだけど、こんなに硫黄臭い温泉は全国でもそうそうないと思う。その湯に浸かるのも旅の目的のひとつだった。


が。


チェックインの際に、支配人が仰々しい感じで「お客様、実はお詫びがありまして…」と切り出した。なんとホテルの設備が故障してしまい、温泉に入れないのだとか。聞いた瞬間僕は思わずえええぇぇぇぇぇぇ〜と落胆の叫びを上げてしまった。そのくらい蔵王のお湯を楽しみにしてきたのだ。着いたら一風呂、寝る前に一風呂、朝に一風呂くらいの気持ちで来たのに、、、。

でも仕方ない。想定外の事故で誰も望まない結果になってしまっただけの話だ。ホテル側は他の施設の温泉を使えるよう手配してくれていて、マイクロバスで送迎もしてくれるという。気持ちを切り替えて早速湯に浸かり旅の疲れを落とす。25年ぶりの蔵王温泉はとてもいいお湯だった。

その後、持ち込んだビールでひとり晩酌大会。旨かったなあ。久しぶりに暖かい部屋でゆっくり寝る。




翌朝。朝風呂浴びようかとも思ったけど、湯に浸かるまでの行程の多さにあまり気が乗らず出発する事に。正直に話せば蔵王の湯を心ゆくまで楽しめなかったのは今回の旅で一番の心残りだったけど、まあ仕方ないんだ。そういえば誰かが「トラベル・イズ・トラブル」とか上手い事言ってたっけ。
ステップワゴンのフロントガラスはすっかり凍っていたよ。




これはまた来いという温泉の神様の思し召しだよなきっと。立ち上る硫黄の匂いの湯気を見ながら再訪を心に決める。




覚えとけよ、今度は心ゆくまで堪能するからな。またな。




という訳で2日目の目的地を目指す。1時間くらいで着くみたい。




山形県長井市には、バイク神社なるものがあるらしく。行ってみたかったんだよね。名前は「總宮神社(そうみやじんじゃ)」という。これも今回の旅の目的のひとつ。




小銭をあまり持ち歩かなくなって久しいけど、神社にお参りする時困るね。将来は賽銭も電子マネー決済になったりするんだろうか。そりゃないか。




バイク神社とは一体なんなんだろう?と思って来てみたんだけど、何のことはない神主さんがバイク好きなだけみたいで、自分のバイクを参拝者に見えるように飾ってたりしてた。この国には八百万の神が居るというけど、昔はバイクなんてなかったんだろうしね。それを言っちゃあ元も子もないか。




しかし、信ずるものは救われるし、溺れる者は藁をも掴むのである。お守りとステッカーを購入。無事故無違反無転倒だってよ、マジであやかりてえ。




ステッカーはバイクに貼る勇気が無かったのでステップワゴンにペタリ。お守りは財布に入れておけるように薄手だったんで持ち歩く事に。これで次の免許更新の時はゴールド免許だな。
実は、僕は生まれてから一度も違反講習なしで免許の更新をした事がないのだ。お巡りさんと相性良すぎだろ。

バイクの神様、よろしくね(他力本願良くないな)。




さて、午後の目的まで少し時間がある、昼飯を食おう、という事で調べると、目的地に大層旨い蕎麦屋があるとの事。山形は蕎麦どころだし、季節は新蕎麦の時期だ。

白鷹町の、千利庵、というお店。時間があったから開店の30分前に店に着いたんだけど、既に3組の先客がいた。こりゃ相当かも知れないな。

開店時には既に大行列で、それを見た店主は「ありゃー昨日はさっぱり暇だったんだけどねぇ〜」などと独りごちていた。早起きして良かったわ。




さて、着席後程なくして運ばれてきた蕎麦は本物だった。確かにこりゃ旨い。食レポ出来るほど味覚嗅覚は敏感じゃないけど、とても丁寧に打たれた十割蕎麦だって事は分かった。
メニューは画像の「もりそば」のみ。大盛りはなく、量を食べたい人は替え玉スタイルの「おかわり」を事前に注文しておくというスタイル。成人男性ならおかわりを頼んでおいた方が良さそうな感じ。

目的「山形で蕎麦を食う」を重ねて達成。




さて、今回の旅の最大の目的はこの後。
20日に、好きなミュージシャンのライブがこの白鷹町で開催されたんですね。そのアナウンスがあった時、色んな目的がパッとひとつになって今回の旅のあらすじが頭の中に描かれた。
その後日程を調整し、行ける事が確定した後にチケットとホテルを予約した。そのあらすじはとても楽しいもので、この日が来るのを心待ちにしながら日々を過ごしていたのだ。




用意された会場は本格的に音響を考えて作られたもので、例えば演者がリズムを取るために片足を踏むと、その「コツッ」とした音が、マイクで拾ったりしていないにも関わらず箱鳴りで会場中に響く。
100席用意されたという座席は満席だったけど、でもどうも僕たちのような「マニア」だけじゃなく、土地柄なのか恐らく山口洋さんの音楽を初めて聴くような聴衆も多いように見受けられた。

だから、洋さんにとっては結構アウェイ感が強かったんじゃないかと想像したんだけどそこは百戦錬磨、場に合わせたパフォーマンスをしっかりと見せてくれた。セットリストもねなんかも含めてね。
個人的には、カヴァーだけど「Rain Song」を極上の音響で聴けた事が至極だったなあ。洋さんが弾くこの曲、大好きなんだよね。




さて、ライブを堪能した後は帰るだけだ。カーナビによると帰路は距離250km、時間にして4時間30分だそうだ。クルマなら屁でもないけど、改めてバイクで来なくて良かったわ。




運転している最中に「1分でも早く着きたい」モードに入った事もあり、白鷹町の会場駐車場から自宅までノンストップで走ってしまった。山形=秋田の国道13号線はかなりの部分が自動車専用道路になっていて、運転自体は楽だったな。
反面、旅がただの移動になってしまう側面も孕んでいるから、僕はバイクでロングに出る時は極力自動車専用道路には乗らないようにしている。それもメリハリ、というかケースバイケースだけど。




そんな訳で無事に自宅に到着。総走行距離はあらかた600kmかあ、まあまあ走ったね。

というか驚くべきは燃費計。今までどんなにおとなしい走り方をしても13km/lを超える事がなかったんだけど、この旅トータルで14.1km/l。行程には蔵王温泉付近のタイトな登りのワインディングや市街地走行も含まれていて、それが無い仙人との待ち合わせの時点(200kmちょい走行)では15.2km/lとかだった。
これ、先日交換したパワステポンプ(やテンショナープーリー)がいかにエンジンの抵抗になっていたかって事だよね、びっくり。
これからスノーボードの季節だから、決して安くなかった修理代もすぐに元取れるね、最近ガソリン高いし。


そうかー、もうすぐスノーの時期だなあ。今年は寒くて雪が多いという前評判なんだけど、安全に楽しめるといいなあ。そうだ、スノボ遠征にも行こう、行きたいゲレンデがあるんだ。

そんな旅の記録でした。






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