震災から5年経った

写真 2016-03-11 10 25 00

お義母さんの法要で、陸前高田に行って来た。

時間があまり無く、復興の様子をゆっくり見る事は出来なかったんだけど、津波に流された旧市街地は土地のかさ上げ工事が進み、昔の面影は全くなくなってた。
妻の実家があった場所ももう何処だか分からないような状態。

狭い高台の街道沿いには、仮設普請の店舗もたくさん出来ていて、震災後も高田を離れなかった人たちの暮らしをほんの少しだけだけど垣間見た。
やっぱりね、ノリが、内陸の盛岡とは全然違うんだよね、帰りにコンビニに寄ったんだけど、RedBull飲みたくて、探したんだけど置いてある場所が見つけられなくて。店内をうろうろしてたら、レジにいたおばちゃんに「何お探しですか〜??」って声かけられた。
それだけでもうぐっときちゃう。僕自身は6年しか住まなかった沿岸部だけど、長年住んだふるさとに戻って来たような、そんな感じ。やっぱこうだよね〜、って思っちゃう。そういうのって内陸のコンビニじゃ絶対にあり得ないからね。
暖かいというか、肌が合うというか。今まで色んな所に住んだけど、6年間住んだ三陸の沿岸南部が一番好きな場所。本当に大好き。勝手にふるさとに認定している位。
一瞬で分かるの。見ず知らずの人の顔つきとかね、そんなんでぐっときちゃう。

そんな場所が、5年前の今日、大津波に襲われた。
海抜の低かった市街地は滅茶苦茶に破壊され、綺麗だった高田松原も跡形も無く流された。
妻の実家も流された。お義母さんは亡くなり、妻は精神的にも物理的にも帰る場所を無くした。

最初、その時のことを書こうと思ったんだけど、5年経っても全然引いて書けないのね。だから途中で書くのやめた。ってか、書けなかった。

被災地に思い入れがある立場として、言いたい事もたくさんあるんだけど(オリンピックの事とか)、僕は完全な当事者じゃないしね、なんか嘘っぽくなっちゃうかなって思って、それも書くのやめた。言いたい事ホントたくさんあるよ、でも書かない。僕が書く事じゃない。

 

 

大好きな街の事、書きたいのに何も書く事がない。

 

 

…僕は10年前に今住んでいる街、盛岡に引っ越してきた。もう家も建てたし、仕事も地域に密着する仕事だから、僕はもうこの街に永住するのだろう。
でも、内陸の盛岡で、沿岸出身の人に出会うと未だに一発で分かるの。初めは言葉、あとは服装とか仕草とかで。

「ん?出身どこです?盛岡じゃないでしょう?」
「あ、分かります?山田です」
「やっぱり! オレも盛岡に来る前大船渡に住んでたんすよ」
「そうなんだ!」
「言葉もだけど、オーラで分かります」
「こないだ居酒屋で飲んでたら、隣の席の女達が『隣の人達、絶対沿岸だよね〜』って小声で話してんだよね、沿岸でわりいかよ、って!」
「あはは、笑かしますね〜」
「つーかお前ら、すかしてねぇで早くやr(ry 」(以下、文字に出来ない会話が延々と続く)

そんなさもない会話が延々と、途切れなく続くんだよね。

 

正直、仕事さえあれば沿岸に戻ろうかな、って思ってた時期もあった。わざわざ、過疎化が進む斜陽の田舎街に。
その位、僕はあの街が好きだった。
まあ、もう腹は決めたし、死ぬまで今の場所に住むんだろうけどね。

だし、盛岡に引っ越していなかったら津波に流されてたかも知れないしね。当時、僕が住んでいた大船渡の借家は跡形も無く波にさらわれた。もしかしたら死んでたかも知れない。

ふるさとは 遠くにありて 思ふもの って詩もあるしね、離れて懐かしがってる位が丁度いいのかもね。
また、時間を作って帰ろうと思います、僕が勝手に決めたふるさとに。

 

 

 

 

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 40代の生き方へ
にほんブログ村

2 comments on “震災から5年経った

  1. Turn-X

    自分も考える事や頭に浮かぶ事はいろいろあるのですが、何を書いていいか、何を書くべきか考えがまとまりません。
    昔案内してもらった町の事は正直あまりよく覚えていないんですけど、それでも自分の訪れた事のある土地が丸ごとなくなってしまったというのは未だに信じがたいし、ましてや帰るところがなくなった方々の思いというのはいかばかりのものか想像もつきません。
    ただ、せめて自分が生きている間はそういう人たちがいたという事は覚えていたいと思うし、教訓にできる事があるなら少しでも生かしていく事が供養になるのかな、と感じています。
    自分も何年先になるかはわかりませんが、東北に行く機会があれば昔訪れた場所をまた見てみたいと思います。

    • ヨコチン Post author

      きっついと思うよ〜。オレも辛いもん、震災前の高田の写真とか見ると。ましてや生まれも育ちも陸前高田だって人の気持ちは察するに余りあるね…
      嫁はねえ、あまり喋らないんだ、たまにポツポツと話すくらいで。オレの知る限り、同級生なんかも明るいよ、普段は。
      仕方ない、って思っているのかなあ…惜しがったって戻ってくるものでもないしね。その辺は分からないけどね…

      いずれ、土地を離れて暮らせない人がたくさんいるんだ、って事は良く分かったな。みんな頑張っているようにオレには見えたよ。

Submit comment

Allowed HTML tags: <a href="http://google.com">google</a> <strong>bold</strong> <em>emphasized</em> <code>code</code> <blockquote>
quote
</blockquote>

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください