盛岡ラビッツ

友達のつとむっち。去年の9月にラビットS301を入手してずっと、免許がないから全然乗れてないのにもう大興奮状態が続いている。基本毎日LINEを寄越すんだけど(恋人同士かよ)、手元に来たばかりの頃はこんなデザインのラフ画を一日に数回送りつけてきてた。つとむっちの生業はデザイナーだからね。
曰く、盛岡ラビッツというラビットのチームを作りたいんです!と。

どこまで本気か分からなかったんだけど、ある日つとむっちが「県内でS301見つけて、今譲ってもらう様に交渉中です!」というLINEを送ってきた。
「へえ、つとむさん、もう増車するんですね」
「いやー俺はスクーターは一台でいいなあ、置き場所にスペース取るし」
「へ?だって交渉中なんですよね?今」
「俺のじゃないですよ」
「んじゃ欲しいって人がいるんですね」
「何言ってんですか、ヨコチンさんの分ですよ!」

…頼んでねーし。つか、本人の確認も取らずに他人のバイクの売買の交渉始める人初めて見たわ。
そんな情熱に感化されたというかほだされたというか、もしくはもう逃げられないと諦めたというか。それが僕がラビットを入手した理由のひとつだったりする。




交友関係が超幅広いつとむっちだから、僕のように感化される人の数も当然多いのだろう、年末にもうひとりラビットが欲しいという人が現れて、その人用のラビットをヤフオクで入手。それが先日つとむっち宅に届いた。
ヨコチンさん、3台並べて記念撮影しましょう!と言うので、ステップワゴンに僕のラビットを積み込んでクルマで30分ほどのつとむっち宅に向かった。
雪の山の中からラビットを掘り出し(これが滅茶苦茶大変だった)滑る雪面に苦労しながら何とか車載。こんな状況では自走で行く事はとても出来ないのでね。




RGステップワゴン(歴代の中で一番サイズが小さい)はスクーターを運ぶのに丁度いい大きさ。このお面と一緒のクルマに乗っているってだけでワクワクする。可愛過ぎる。




ばーん。雪の中ウサギさん大集合。
一番手前のが僕ので、真ん中の風防が付いているのがつとむっちの、一番奥が新しく来た奴。




僕のとつとむっちのはB4型、新入りは(多分)B3型。寒くてあまり良く比べられなかったけど、B4はフロントウィンカーがポジションランプになるのだけどB3にその機能はないみたい。大きさが違うのがこの画像で分かるでしょ?左端のがB3。
ウィンカーが301Aと同じ型の角張っているモデルもあって、それが多分B2型なんじゃないかって思ってる(今後調べます)。
B3のウィンカーレンズはいい雰囲気でオレンジ色が抜けている。僕なら電球をオレンジにペイントしてこのまま乗るな。ちなみにウィンカーのバルブはプラモデル用のクリア塗料で塗るといいらしいね。

塗色は3台とも同じに見えるけど、B3とB4はライトグリーンの色合いが若干違う。B3は若干色味が薄いペパーミントグリーン。




ペイントは3台ともオリジナルで、大層いい雰囲気。やはり鉄スクーターはオリペンに限る。
でも意外とつとむっちはその辺のこだわりがないみたいで、たまたま入手したのがオリペンだったんですよと言う。えーベスパはともかくラビットはオリペンに限るっしょ、というこだわりがある僕と好みが異なるけど、まあ自由に乗ればいいんだ2輪なんて。

とりあえず3台揃ったなあ、つとむっちの話によると春にもう一人入手する予定の人がいるみたいで、彼の野望通り盛岡ラビッツは形作られてきてる。情熱と行動力の成果だね。
とりあえず春になったらツーリング行きたいね、今は寒くて整備もする気にならないけど、200kmくらいの日帰りツーリングは軽くこなす車体にするのが僕の目標です。




とは言え、ここに集まった3台ともまだダメ出しは済んでいない。僕のもひと月ぶりにエンジンを掛けようとしたら掛からなくって、あれ??と思ったら去年4L入れたガソリンが空になっていた。画像はその辺を調べている僕だね。
僕のラビットはガソリンコックが正体不明の社外品に変えられていて、オン/オフがどの向きなのか分からないでいたんだよね、オフにしたつもりがオンになってて、その状態だとじわじわとガソリンが漏れるみたい。
それがコックからなのかキャブがオーバーフローしているのか不明だけど、つとむっちにガソリンを分けてもらって掛けたエンジンはクランクケースにガソリンが滞留していた形跡はなく吹けも良かった。
かと言って停めていた周りの雪もガソリンの色は付いてなかったんだよなあ。純正(同等品)に戻す事も視野に入れて注視していきたい部分。出自が分からなければコックのOHも出来ないからねー。

3台とも壊れるんだろうなー、今のところ僕が主任メカニックまではいかなくともトラブルシュート担当になりそうなので勉強します。リプロのパーツも何が手に入るのか調べなくっちゃ。ラビットハウス、伊藤自動車、キャブ関連は旧車の味方キースターから色々部品が出ているし、関西のワーゲン屋のKEP Worksさんもオリジナルパーツを少数だけどリリースしている。
あとはヤフオク、フリマだね、こないだヤフオクでセミトラキットを見つけた。ネットショップを開く程ではないセミプロはこういう場所でオリジナルパーツを売っているケースも多いのでチェックは欠かせないね。




紫波の雪景色の中で鳴くウサギが3匹。そういやウサギって鳴くのかね?昔流行ったマンガによるとキリンは鳴かないらしいけど。

この後、僕のステップにB3ラビットを積み込んで新しいオーナーの元に納車に向かった。









3人目の盛岡ラビッツは、ヨシ君という人。道中つとむっちから軽く人物紹介をされたんだけど、自由人かつ旅人。盛岡に帰ってくる前は北極圏でシェフをしていたのだとか。
人物を物語るエピソードとしては、見た目があまり綺麗じゃなくて。ある日ヨシ君に子供が近寄ったんだって、それを見たその子の母親が「こっちに来なさい!」と、あの人に近寄っちゃダメ的なニュアンスで遠ざけられたそう。要はホームレスと間違われたらしいんだけど。その顛末を見たヨシ君は凹むどころか「よっしゃー、オレは自由になった!!!」と快哉をあげた、と。ウケるよね。

誠実でいい奴ですよ、とつとむっち。まあこの時代にラビットなんてスクーターを買う奴にマトモなのなんていないんだろうし、どんなのが出てくるのかワクワクしながらの初対面。
果たして初対面のヨシ君は、長髪、長髭の奥に澄んだ目を優しく光らせる奴だった。分かれ道に立った時、安易に道しるべに従わずに自分の選択で歩み続けてきた者のみが纏う事ができるオーラを発散している。でもそれは威圧的なものでは全然なくて、むしろ他人を許すことが出来る包容力に満ちていた。

ラビットを運んでくれたお礼に、という事で、つとむっちと僕は昼飯をご馳走になりながら3人で色々話した。旅人のヨシ君は「ラビットで沖縄まで行けますかねー??」と旅する気満々の様子。つとむっちは「旧いスクーターだから、しばらく近場で走って壊れるところをダメ出ししてからかなー」なんて返してたけど、それ僕の受け売りだよね(つとむっちは免許もまだないのに真冬の宗谷岬にラビットで行くんだ、と装備品を収集している)。

アウトサイダーが3人も集まると会話はとどまる事なく続くんだけど、雪の中つとむっち宅に置きっぱなしの2台のラビットが気になるのでランチはお開き。僕もヨシ君と連絡先を交換して「何か困ったことあったら遠慮なく連絡くださいね」と言って別れた。



帰りの車内で「ヨシ君、どうでした?」とつとむっちに聞かれた。
「目が気に入りましたね、誠実そうな優しい目をしてた」と返したら、つとむっちはフッと笑いながら「ヨシ君はああ見えてそれなりに修羅場くぐってきてるんで。ただの優しい奴じゃないですよ、まあ『男』です」と。なるほどなあ。
ヨシ君は僕の家の割と近くでカレー屋を営んでいるので今度行ってみよう。



と言うか、スノボもいいけどそろそろ2輪に乗りたいね!2月をやり過ごせば近場なら乗れる状況になるかなあ。






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