山口 洋 the boy 40th tour at おうちカフェMIUMIU

超久しぶりにLiveの記事書きます。

大きな台風が日本列島を襲った日、僕が敬愛してやまないバンドHeatwaveのフロントマン山口洋さんが、奥州市にあるカフェでライブをやるというので観に行ってきた。
降り出した雨の中、ゴト車(営業車のヴェルファイアね)のウィンドウサインを「自家使用」に切り替え南を目指す。

Heatwaveを初めて聴いたのは確かハタチ過ぎの頃だったと思うからかれこれ30年近くか、一時期聴かずに離れていた時期もあったけど、このバンドと洋さんはずうっと僕の中で特別な存在で、数多の他のミュージシャンとは一線を画していた。
偶像崇拝なんてしていないつもりだけど、それでも僕の中で一番のヒーローで、発売されたCDを欠かさず買うのはもはやHeatwave関連のものだけだ。




会場のMIUMIUはこじんまりとしたカフェで、去年初めて洋さんはここでソロLiveをやった。去年も当然観に行ったんだけど、そのLiveの感想は、その時も書いたけど正直あまりいいものじゃなかったんだよね。
その後その時の洋さんの身体のコンディションが万全じゃなかった事を氏のblogで知り(Liveの後程なくして氏は大きく身体を壊した)、だから今回はものすごく楽しみにしていた。迫り来る巨大台風なんて問題じゃない、万が一があってもそれはそれで本望だ、くらいの気持ちで奥州に向けゴト車を走らせた。


ものすごくこじんまりとしたハコだから、去年もそうだったんだけど演者と観客の距離がとても近いんだよね、楽屋もないから、17:30会場の5分前にドアの前でくわえタバコでLINE打ってたら開いたドアから洋さんが出てきた。憧れのヒーローといきなりの至近距離での遭遇である。咄嗟に目礼したけど、うわっと声が出そうになった。ビビるっつーの。ドキドキ。
でも、この距離に近さは都会の大きなライブハウスじゃ味わえないんだろうなー。



演奏は、前回と同じ2部構成。ステージに立った洋さんはスタートに先立ち、この天気だし、Live終わったらオレこのままここで打ち上げるからみんなも飲めばいいよ、とMC。え、マジか。でもオレクルマで来ちゃったしなー、と取りあえずアイスコーヒーを飲みながら、ステージのすぐ脇左側の椅子で演奏を聴く。

パフォーマンスは、本っ当に素晴らしかった。40年続けてきた実績と実力に裏打ちされた、身体ひとつとギター一本で生み出されるグルーブ。凄まじかった。特にギター。火炎放射器みたいに火も拭くし、小川のせせらぎみたいに優しく穏やかにも響く。まさに緩急自在。以前から思っていたけどこれはワールドレベルのプレイだ。そんな演奏を目と鼻の先で観られる事の幸せといったらない。実際に関東から観に来た方もいたけど、好きならばこの会場でしか味わえない空気は体験してみるべきだ。


第1部のステージが終わり、休憩時間。
タバコ吸いたいし外に出よう、と思うんだけど、去年もそうだったけど、楽屋がないから洋さんも外で休むんだよね、今回もそうなんだろうなーと身構えながらドアを開けると案の定というか、思いっきり目の前に洋さんがいた。
あ、お疲れ様です、演奏最高です、と、いちファンとしてふさわしいであろう距離感で言葉をかけると、君、今日何で来たの?と。あー天気もあれなんでクルマなんですよ、とタバコに火をつけながら答えると、飲んじゃいなよ、泊まってけばいーじゃん、この天気だからホテル空いてるよ?と。
その後二言三言雑談をして洋さんは会場の中に消えた。

これねえ、僕にとってはキース・リチャーズに飲みに誘われるのと同じくらいの衝撃ですよ。キースに飲もうよって誘われて断る人いる?いないよね?
少し震える指でタバコを吸い終わり、カウンターに直行してビールを注文する。


更に驚くべき事に、ビールを受け取って席に戻ろうとすると、僕の座っていた席に洋さんが座っていて、周りの他の観客と談笑している。確かにステージに一番近い椅子ではあったんだけど。
!!!。どーするオレ。言っても立ってるのも変だし、すいませーんって席に座って、お先に失礼します、ってビールをぐびっと飲む。


ガキの頃から憧れ続けたミュージシャンがすぐ隣に座っている時の気持ちってどんなだと思う?今でもとても言葉には出来ないし、実際頭の中は真っ白だった。取りあえず握手をお願いして、細い身体に合わない大きくて暖かい手を握り、話の流れに身を任せていたら気付けばシャケの遡上の話してた。
いやお前、いくら何でも本番弱すぎじゃないか?何で、なんっっっで今ここでシャケの話しなくちゃならないんだ?しかも妙に饒舌だぞ。
でも、もっと他に話す事あっただろうに、と今になって考えても、ステージの中休みにする会話としちゃあのくらいで丁度良かったのかも知れないね。




第2部も、新曲とキラーチューンを織り交ぜた構成で存分に楽しめた。アンコールではハンク・ウィリアムスのカヴァーも聴かせてくれた。曲の合間のMCは本当に面白く、腹を抱えて笑った。そんなのも込みでのパフォーマンスとエンターテイメント。

この日演奏された曲の中では、僕は、カポーティの小説にインスパイアされて書いたという「遠い声」が一番良かった。スローな8ビートなんだけどグルーヴィーなギター、日々の暮らしに直接響く歌詞。
死ぬまで忘れられないステージだった、お世辞抜きでね。









さて、続く「打ち上げ」という名の飲み会は、残った10数名の観客とともに行われた。
本当に美味しそうに最初のビールを一口飲んだ洋さんは、想像していた通り結構すぐに酔っ払い、ギターを下ネタに持ち替えて乱射し始めた(割と酒に飲まれるタイプですな)。
ステージ上でのMCもそうだけど、洋さんの話は本当に面白く、みんなでげらげら笑い転げた。下ネタはだいぶ暴走気味だったけど、こんなアホみたいに楽しい飲み会は久しぶりだった。



楽しそうに飲んで大声で喋って酔っぱらっている様子からは、時に内省的な歌詞や文章を書く人には見えない気もしたが、そんな事はないよなあ、とすぐに思い直した。

どこか渇いてる、のかな。その渇きを潤そうと曲を書いて歌い、文章を書き、身体を絞り、酒を飲んで騒ぐ。行動は異なるけど目的は一緒、というか。分からないけどね、でもそう考えれば話に綺麗に一本筋は通る。

そういう話をすれば僕だってそうだから。バイクに乗るのも音楽を聴くのも本を読むのも文章を打つのも、足りないものを補おうとしているんだという自覚はあるから。

だからきっと洋さんの歌は僕(ら)の胸に響くんだ、と結べば、この文章にもキチンとオチが付くよね。








と、ここまで書いたけど、Heatwaveや洋さんの曲聴いた事ない人の方が多いと思うから一曲シェアします。
特にソロライブの時には欠かせない代表曲。今回のライブでは本編のラストを飾った。気に入ったならLiveへゴー!ですよ。

この曲が入ったアルバム「Tokyo City Man」、超名盤なんだけど廃盤なんだよね。各配信サービスでも聴けない。何とかならないんですかね〜





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