SR走り初めと昔話

2月3月はとても暖かかったのに、何故か4月に入った途端に天候が悪く、雪すら降ってきたりして(2日の定期便の帰りの宮古街道はテカテカのアイスバーンだった)、とてもバイクで遠出するような気分になれなかったんだけど、先週くらいからかな、ようやく、本当にようやく春らしい天候になってきた。
SRもようやくシーズンイン。待ってました。



先週は、まだ山越えは怖いし寒そうだったので、内陸を南下することに。バッテリー交換やタイヤの空気圧調整を済ませていたSRのエンジンを掛け、しっかりと暖機する。気温は9度くらいだったかな?まあ厚着すれば余裕で走れる気温だね。

定期便の仕事中に降りるべきインターチェンジを間違っちゃった事があって(おい)、その時に偶然走った県道がとてもいい感じだったので、怪我の功名を満喫することにしてワクワクのスタート。


具体的には、国道396号に大迫の辺りで接する県道43号線。取りあえず東和町まで走ってみるか、と標識の写真を撮っていると、江刺まで41km、とある。1時間もかからずに走れる距離だ。おし、んじゃ江刺まで行くか、江刺に旨いラーメン屋あったかなあ?などと考えながら走り始める。


県道の数字は時々入れ替わりながら北上を越えて…



小一時間で江刺に到着。空の色は寒々としているけど、それなりに厚着をしていたのであまり寒さは苦にならなかった。


道路は終始こんな感じ。直線もあればコーナーもある。国道と比べ平日の交通量はぐっと少なく、本当に気持ちよく走れた。



去年換装したディスクブレーキも効きは十二分。もう少しコントローラブルだと言う事ない。やっぱりちょっとマスター径が小さいのかな?元々2PODキャリパー用のマスターだしな。
まあこの辺はおいおい煮詰めていくとしましょう。



ラーメンも大変美味しゅうございました。





で、ぐっと気温が上がった今日は山越えのルートを選択。国道106号から国道340号を遠野方面へ。
106号はほぼ毎週仕事で走っているから特に感動もなかったんだけど、数十年ぶりで走った、川井村から遠野へ南下する340号線が素敵すぎた。ちょっと路面が荒れているところもあったけど、交通量は極端に少なく、渓流沿いを通る道路は風光明媚。新緑の季節なんかめっちゃ綺麗なんだろうなー。
あまりに走りが楽しすぎて写真は一枚も撮ってないけど、今年のGWは長いし、定期便の仕事はないしなんで、期間中に時間を作ってもう一度走りに行こう。

お昼はこちらで。遠野に昔からある店だね。



こちらも美味しゅうございました。旨辛。








国道340号線は、北は葛巻町から、南は陸前高田市まで、広い岩手県を南北に縦断する3桁国道。基本どこを走っても広くて交通量の少ない、まさに岩手カントリーライドにうってつけの道なんだけど、一部分だけ難所がある。
国道455号岩泉街道から国道106号宮古街道の間だけはセンターライン無しの対面通行で、道幅も狭いんだよね。


実は僕はこの区間には因縁があって。
結構すっ飛ばす割にはコケた記憶って片手の指が余裕で余るくらいしかないんだけど、今までのバイク人生で一番ひどい転び方をしたのがここなんだ。


ハタチ過ぎの頃だったと思う、秋に北東北一周ツーリングにひとりで出かけた僕は、野宿の荷物を当時の愛機、スズキのRA125というトレール車のリアシートに満載して山形を出発、北上から国道107号を東進した。
田瀬湖の辺りの、初めて見る見渡す限りの原生林に感動し、道路も素晴らしいしね、まあ今で言う岩手カントリーライドを初体験した僕はテンションが高かった。30年前の遠野は本当に絵に描いたような「田舎」で、まんが日本昔話に出てくるみたいな景色に感動して、そのままの気分で今日走った区間を抜けて件の難所に入った。

道幅は狭かったけどトレール車は軽いし、リアシートに荷物を積んでいるせいでリアステアも絶好調で、気分良く結構なペースでひらひらとコーナーを抜けていた。
次のコーナーは見晴らしの良い左のヘアピン。クリッピングポイント辺りを沢水が横切っているのが見えたが、どーせ滑るのなんてその部分だけでしょ?なんてタカをくくってイケイケのフルバンクで突っ込んだ僕は、次の瞬間あっと思う間もなく路面に叩きつけられた。

普通滑った時って、あ、滑った、という感触があって、それを受けてカウンターを当てるなり足を出すなりの対処をするもんなんだけど、そういうのが何もないまま一瞬のうちに、気付いたらバイクごと横になっていた。それを証拠に、倒れた格好はほぼ乗車姿勢のまま、左手すらグリップを握ったままだった。

痛ってーな、取りあえず起きなきゃ、と思うものの、乗車姿勢のまま倒れているので、左足は車体と路面にすっかり挟まれているし、重心の高い位置に荷物を満載した車体はちょっとの事じゃ動かない。
しゃーない、足を引っ張り出すか、と左足を動かそうとした僕は悶絶した。どうやら路面に擦れて履いていたジーンズが破け、擦り傷が出来ているよう。それをさらにアスファルトにこすりながら引き出そうというのだから痛くない訳が無い。

そのうちその部分に、キャブレターから漏れたガソリンが垂れてきた。うわお前いい加減にしろよ、ガソリン傷口にめっちゃ染みるんだけど!とそれでも初めは少し余裕があったんだけど、あれ?今このガソリンに引火したらオレ焼け死ぬんじゃね??という事に思い至った僕は真っ青になった。

人間、本当に必死になると大概の事は出来てしまうのね、こんな所で焼け死ぬの嫌だ、死にたくない!とテンパった頭で思った僕は、それこそ死ぬ思いで、血と沢水とガソリンに塗れた傷口を数十cmギザギザのアスファルトに擦り付けながら何とか完全にオーバーハングした車体の下から左足を引っこ抜き(文章打ちながらぎゃー、と思っているけど、読んでいる人もぎゃー、だね、ごめんなさい)、痛みと恐怖でフラフラになりながら立ち上がった。そしてその時に、僕と僕のバイクに何が起こったのかを理解した。

進行方向の数十メートル先に、エンジンブローしたと思しき小型のトラックが停まっていて、路面にオイルをぶちまけていた。オイルの帯は僕が走ってきた道の方まで続いていて、要は僕はフルバンクの状態で沢水とオイルが混ざった部分を踏んじゃったんだね。前後輪いっぺんに、ツルッと一瞬で持っていかれたんだろうね、そりゃコケるわ。

車体を起こし、各部を確認すると奇跡的にほぼ無傷。レバーも折れていない。身体も左膝の打撲と擦過傷だけ。キックを踏むとエンジンもすぐ掛かったから、関わり合いたくなかったんだろうね、エンジンルームに頭を突っ込んで無視をキメ込んでいるトラックの運転手に一言二言文句を撒けてから走り出した。

旅は続けたよ、傷口には応急処置して。携帯電話もない時代だったから、そうするしかなかった。
痛めた膝が動かなくて、左足を地面に下ろすとステップまで上げられないんだよね、仕方ないから走り出してから左手で腿を持ち上げてステップに乗せて。はは、若かったよなあ。


そんな訳であの区間は苦手意識があるんだけど、それもリベンジしとかないとね、それこそ死んでも死に切れない、って奴だね。
つか、自分でも懲りない奴だなって思うけど、それこそナントカは死んでも治らない、って言うしね。
待っとけよ、国道、もとい酷道340号線。






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