北海道紀行

8月の頭に、息子とふたりで北海道に行ってきた。
進学希望の息子は高校2年生で、志望校のひとつである北海道の大学のオープンキャンパスに行きたいんだ、とある晩妻に告げたらしい。

超マイペースでのんびり屋の息子から「何かをしたい」と言い出す事はきわめて稀で、妻とふたりで「これは連れて行かないわけにはいかないな」と、議論の余地なしで北海道行きを決めたのが約ひと月前。それからバタバタと準備をするも、ここ数年旅行らしい旅行をした事がない僕は何かと手際が悪く、毎晩パソコンに向かって色々な事を調べる日が続いた。

目的地は帯広。え?帯広に空港ってあるんだ?とかそのレベルから調査を開始し、半月かけて日程と行程を決めた。時間も無限にある訳じゃないからね、それと予算を天秤にかけて決めたのは、いわて花巻空港から飛行機で新千歳空港に飛び、そこからレンタカーで帯広を目指す、という旅路。

僕自身は30年くらい前バイクで旅した事があるんだけど、息子にとっては初めての北海道、どうせなら多少は北海道らしさも味わって欲しいな、という思いもあり。それなら陸路もある程度走った方がいいでしょ。

 

日にちは進んで出発の日。クラウンに荷物を積み込んでいわて花巻空港を目指す。我が家からは50分弱くらいの距離。田舎の空港は駐車場が無料なんだよね、何日止めても。

花巻からは格安航空会社の便は飛んでいないのでお大尽にJALを使う。例えばこれが家族4人での旅だったら、仙台空港まで戻ってLCCで飛んだ方が安いんだろうけど、ふたり旅だと仙台経由で行く時間と労力に見合うくらいの節約にならなかったんだな。

 

僕、飛行機乗ったの多分10年ぶりくらい。俺、窓際の席がいいとか言っといて離陸から5分でシエスタを始めた息子の頭ごしに撮影。1時間弱であっという間に新千歳に到着。

 

ささっと予約していたレンタカーに乗り込み帯広を目指す。と、走り始めてすぐに対向車線から戦車が走ってきた。げ!でけぇ。千歳に駐屯地があるんだね。でも路上で戦車はびっくり。本州では考えられない。早速北海道の洗礼を受けた感じか。

 

R274をしばし東進、動物好きの息子がヒグマが見たいというので途中トマムのベアマウンテンに寄った。
R274は30年前も走ったはずだけど、舗装が随分痛んでいたなあ。数年前にひどい水害にやられて結構長い事通行止めだったらしいね。

 

がおー。

 

スポイルド・ベアーだとは分かっていても間近で見るとど迫力。
休憩室に森でクマに出会った時の対処法、みたいな文章があって。曰く、走って逃げるのは絶対にダメらしいね、両手を広げて「まあ話せば分かるよ」的な身振りで後ずさりするのが正解なのだとか。
まあいざとなったらなかなかそんな冷静な行動取れないんだろうけどね。

 

その日は帯広市内のビジネスホテルに泊まった。観光のハイシーズンだし、宿を取るのは滅茶苦茶大変だった。ひとり一泊2万円とかの部屋しか空いてなくて、かと言ってそんな部屋に泊まれる訳ないし。必死で探したらちょっと郊外に安いホテルを見つける事が出来て。
疲れてたんで、サッポロクラシック飲んだら即夢の中でした。

 

2日目。ホテルで朝食を食べて、いざオープンキャンパスへ。

 


敷地が広くて緑が多く、綺麗なのが印象的なキャンパスだったなあ。

 

白樺の木立のなかにベンチがあったり。ちょっとした公園よりも居心地がいい。

 

 

午前中は息子とふたりで学内をうろうろ。大学の敷地内にある寄宿舎も見学させてもらった。
僕も学生の頃は学生寮で暮らしていて、共同生活の良さというのは身をもって良く分かっているんだけど、なんかそんな良き昔を思い出すような空間だったなあ。ビール瓶がケースで積んであるし、炊事場に行けばきったねぇ炊飯ジャーが並んでるしさ。
案内してくれた寮生に「寮生活、楽しい?」と聞けば、破顔しながら「滅茶苦茶楽しいっす!」。だよな、雰囲気で分かるよ。

なんかこの学校、いいかも。

 

午後は息子がフィールド(学内にある牛舎など)を見たいというので別々に行動。僕は僕が知りたい事を求めて学内をうろつく。
と、オープンキャンパスとは関係なく敷地内で炭火で燻製を作っていた数人の学生のグループを発見し、早速ナンパする。

 

どう?学校楽しい?
「あーまあ楽しいっすねー」
みんあ県外から来てんの?
「そうっすね」

ってな具合に色々質問してみた。
実習でやるからというのもあるんだろうけど、牛舎での搾乳のアルバイトとかあるんだってね、単発日雇いの農作物の収穫とかも。ほーほほー。めっちゃ楽しそうじゃん。学びの環境もだけど、住環境も良さそうだ。

 

結局15時過ぎまでキャンパスで過ごし、その日の宿泊地の富良野を目指す。

 

僕は以前から北海道にはいい印象を持っていたんだけど、それがいい意味で裏付けられたので、道中、押し付けにならない様に注意して僕の考えを息子に話した。

 

 

お父さんは若い頃、そういう視点を持てなかったんだけど、今は苦手な事を無理してやりながら生きなくてもいいと思ってるんだよね、いやそりゃ時には頑張らなくちゃならない時も我慢しなきゃいけない時もあるし、パラダイスみたいな場所がこの世にあるとも思ってないんだけど、ちょっと工夫して視野を広く持つだけでより良く暮らす環境は自分で選べるとは思ってる。帯広、同じ日本の中だってこんなに雰囲気違うんだぜ?それは感じなかったかい??etcetc…

 

 

息子は、そんなモンなのかねぇみたいな顔をして聞いていたけど。将来、そういえばあの時おとうがあんな事言ってたっけなぁ、なんて思い出してもらえたら嬉しいな。

 

超絶快適でペースの速いR38をひた走り富良野へ。

晩飯にカレー食べてたら(旨いカレーだった)、腕に墨入った女の人に「いいTeeシャツ着てますねー!」と話しかけられた。これも僕が住んでいる土地ではあり得ない事だよー。

 

最終日はちょっと富良野、美瑛辺りをぶらぶらして帰る事に。初めは札幌を見る予定だったんだけど、街を見るよりは北海道らしいトコ見た方がいいのかも、と予定を変更。

 

男ふたりで花畑でソフトクリーム食った。

 

最後まで天気には恵まれたなあ。

 

そして道路はどの道も最高だった。

 

絶対にまたバイクで走るー。さすらいもしないでこのまま死なねぇぞ。

 

 

 

この旅の道中、頭の中でずっと流れていた曲。シルバラード、という語感と北海道の大陸感がマッチしたのかもね。
このBlack Dubセッションはいつ、どの曲を聴いても本当に素晴らしい。何度聴いても飽きることがない。

 

 

 

 

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