東京紀行 後編

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結局国会前に滞在したのは2時間位だったか、少し歩いて喫煙ルームのあるカフェを見つけて入る事に。お、ビール置いてんじゃん。まだ外は明るいけど迷わず注文して、何年ぶりだろう、Kと乾杯する。
近況報告も交えながら、話す内容は最近の社会情勢がメイン。がっちり噛み合った会話は淀みがない。「あの頃」と変わってない。まあ変わってないって事がお互いに一番の近況報告なんだろうな。
Kは本当に20年前と変わってなかった。相変わらず一本筋の通った、優しくてタフないい男だった。今思えば昔話は殆どしなかったなあ、昔話のネタになる思い出なんてお互いに掃いて捨てる程持ってる筈なんだけどね。

その後、本場江戸前の銭湯に寄って汗を流し、泊めてもらう約束をしたKの家に移動して晩御飯をご馳走になる。結婚式に呼ばれて以来会っていなかったKの奥さんも含めて焼肉をつつきながら3人で飲む。美味しくて楽しい酒だった。
日付が変わるくらいまで飲んだだろうか。そろそろ開くか、って事で布団を敷いてもらう。そこで、別に締めるつもりじゃなかったんだろうけど、Kが淡々とした口調でぽつりと話した。
「多分、この法案はこのまま通るだろう。でもそれが終わりじゃない。そこからまた始めればいいんだ」
この歳になるまで、何度も修羅場をくぐり抜けてきた友達の冷静な現状分析と静かな決意を聞いて頷く事しか出来なかった。わざわざ国会前まで行って汗かいて、難儀な奴らだなあと我ながら思うが、まあKと僕みたいな人間は結局こういう歩き方しか出来ないんだろう。昔好きだったThe Smithsというロックバンドのアルバムの、Strangeways, Here We Comeというタイトルが頭を過る。そういえば彼らはThere is a Light That Never Goes Outって曲も歌ってたな。

翌31日は月曜日。マトモな勤め人は朝から仕事だ。奥さんにお礼を言い、出勤するKと一緒に家を出る。もう一つ行きたい場所があったので、駅でKと再会を誓いつつ別れ、中央線で西に向かう。目指す駅は中央線で一本で着く筈だったんだが何故かスムーズに目的の駅に着く事が出来ず(何故なのか未だに不明、東京こわい)ようやく高尾駅にたどり着く。思春期の頃心酔した、忌野清志郎のお墓がある霊園に最寄りの駅だ。
ずっと来たかったんだよね、若い頃散々お世話になったから、そのお礼を言いたかった。
駅前のコンビニでビールを買い、件の霊園を目指す。一応地図はプリントアウトしてデイパックに入れてきたのだが、直前までJR中央線に散々翻弄されたのが軽くトラウマになってて道に迷う予感しかしなかったので結局タクシーに乗せて行ってもらう。

辿り着いたお墓は、トップの画像の通り。ネットで何度も見た造りはファンがたくさん来る事を前提に造られている感じで、辛気臭い感じは一切なく。これもきっと清志郎の気遣いなんだろうな。皆が掃除してくれるのだろうか、お墓はすごく綺麗で、生き生きとした花も沢山供えられていた。
事前に調べたところ、線香は焚かないで欲しい、ビール等缶類のお供えも控えて欲しいとの事だったのでビールは自分の分だけ、小雨交じりの中、午前中から飲らせてもらう。そして今までやりたい事をやって生きて来れた事のお礼を言い、これからもやりたい様にやっていくつもりである事を報告する。
墓前に手を合わせながら、このお参りはひょっとすると未だに自分の中に巣食う中二病的病理に対する供養なのか?僕の中二病はここで成仏するのか?等という考えがちらっと頭に浮かんだけど、まあ治る訳ないわな、というか治す気もないんだな、結局。お蔭で変な大人になっちゃったよ、ありがとうね、と再度お礼をして失礼する事に。

写真 2015-08-31 10 33 29そう言えばお墓の門柱?にはLove & Peace、って文字があったよ。Twitterで清志郎語録的なbotをフォローしているんだけど、20年近く前に驚くほど的確な、予言に近い発言しているんだよね。このままじゃそのうち世間知らずのお坊ちゃん総理が戦争をやり始めるぜ、とか。そのまんまじゃんかねー。

そんな感じで、国会前に始まる僕の東京小旅行は無事終わり、家族にお土産を買って、帰りは新幹線で盛岡に戻った。ニュースでデモの事報道してたのだろう、戻ったら子供達に「おーおとう、テレビで見たぞ、アレに行ってたんだな、お疲れ!」とか言われた。おう、行かせてくれてありがとな。礼を言ってまたいつもの日常生活に戻った。

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