マルカンデパートに行ってきた

写真 2016-06-07 12 57 58

いささか旧聞に属しますが、今月の7日、花巻市のマルカンデパートに行ってきました。
報道等で知っている人も多いと思うけど、建物の老朽化のため、この日で営業を一旦(後述)終了することとなっていたのだ。

マルカンデパート、実際に行った事のある人は岩手県外に住んでいる人には少ないかも知れないけど、古き良き昭和の香りを残した、というか、時間の流れが昭和で止まったかの様なレトロ感溢れる店舗だった。
特に6階にある大食堂は、メニューも雰囲気も、そして値段も、僕が子供の頃、30年以上前の空気がそのまま残っていて、ちょっとした観光スポットだった。
箸で食べるばかでかいソフトクリームが有名で、これは全国ネットのテレビでも紹介されたことがあるから知っている人も多いと思う。
まあ岩手県民としては行っておかなきゃな、ってことで、片道一時間かけて行ってきました。

 

はじめはバイクで行こうかな、って思ってたんだけど、その日ちょうどクラウンワゴンの塗装の手直しのために工場に入庫する予定があって(モールが浮いてきちゃって)、貸してもらった代車がなかなかナイスなクルマだったんで試乗がてらそれでびゅーんとひとっ走り。

 

営業最終日だけあって、報道の方が多かった。そりゃそうだ、県内ニュースとしては大きな事件だ。
店内はもうすっかり片付いていて、もうほとんど食堂のために営業してた感じだったんだろうか、これまたレトロ感満点のエスカレーターで6階を目指す。

食堂は食券を買って、リアルメイド服を着たウェイトレスさんがそれを取りに来てくれるスタイルなんだけど、レジの前には軽く行列が。
食べたかった名物ナポリカツ(ナポリタンとトンカツとサラダが乗ったプレート、The昭和)は注文が多いらしく時間がかかるとの事だったので、デパートの名前を冠したマルカンラーメンと、ソフトクリームの食券を購入。

混んだ店内を空席を探しながら歩くと、厨房の近くに座れる席を発見。すいません、失礼しま〜す、と相席の方達に声をかけ着席するも、なんか雰囲気が違う。正面に一人で座っている女性はメモ帳とペンを手にしている。ん??と思い、今更ながらに周囲を見回すと、同じテーブルに座っている二人の方はデパートの重役さんで、メモ帳の女性はそれを取材する新聞記者さんの様。まあ座っちゃいけない席じゃなかったんだろうけど、空気の読めない男・ヨコチンの真骨頂という感じ。はぁ。
まあおかげで貴重な話をたくさん聞くことが出来たんだけど(そういう問題じゃない)。

 

写真 2016-06-07 13 08 32

間も無く出てきたマルカンラーメン560円(だったかな)。味も値段も昭和。ピリ辛で旨い。

 

写真 2016-06-07 13 37 25

と、名物ソフトクリーム180円。大きすぎるので箸で食べる。この大きさでこの値段は驚異。味もとても美味しい。

 

 

で。
一旦終了と前述したのは、このデパートを引き続き経営したい、と名乗りを上げた地元の企業があって、今現在各方面と折衝してデパートの存続の可能性を探っているらしいのだ。
やはり一番の問題は金銭面らしく、クラウドファンディングで寄付を募る取り組みも始まったよう。

当然賛否の声はそれぞれにあるらしく。双方の気持ちは分かるけど、僕は花巻市の住民じゃないので反対意見を述べる筋合いじゃないし、賛成の意志があればクラウドファンディングで寄付をすれば済むこと。なのでこの場ではその事には触れない。
効率、みたいな視点で考えれば甚だ効率の悪いやり方なのだろう、ただ、その土地に根ざしてしか暮らしていけない人が数多くいるのも凄く良くわかる。
寄付が無事集まって存続が決まれば、収益化、という観点を主軸に運営していかなければならないだろう。そこに街の活性化を期待する地元住民の気持ちは理解するに余りある。
過疎化が進む地方都市はこれ以上はない位疲弊しているから。都会に住んでいる人には想像も出来ないだろう位。

 

写真 2016-06-07 13 57 06

借りた代車は、スズキのSX4というクルマ。地味な車種だけどこれが実に良く出来たクルマで。
公私ともに昭和の設計のクルマに乗っている僕としては、これが進歩なんだな〜と感動することしきり。
趣味性はないけど、タイヤがよっつ付いていて、アクセルを踏んで加速しステアリングで方向転換するのは何十年間も変わらないクルマだって着実に進歩しているのだ。

そんなクルマを運転しながらの道中はなかなか複雑だった。
マルカンデパートは、東京に一極集中する国内経済の流れに取り残された結果、昭和レトロな雰囲気を平成28年まで保った。恐らく意識的にそれを望んだ結果ではないと思うんだけど。
でも今回実際行ってみて、人にとって、進歩とか進化って必ずしも幸福感を増加する要因にはならないということも実感した。あの食堂は実にいい空間だった。それを残そうという人たちが熱意を持って行動しているのも良くわかる気がした。

コンプライアンスという視点にガチガチに縛られた今日びの商売は僕には少し息苦しい。もっと気楽でいいじゃん、と良く思う。
かといって、SX4を運転した時に感じたような進歩はウェルカムだったりもする。AI(人工知能)みたいな進化はちょっと怖かったりもする。
人が幸せになるような進歩だけ出来ればそれが一番いいんだろうけどね、そんな都合良くいかないんだろうな。後はこっちの方で世の中との関わり合いに距離を取らなければならないのだろうか。

 

 

写真 2016-06-07 13 04 39

色々話も大きくなったけど、マルカンデパート、とりあえずお疲れさまでした。僕はクラウドファンディングで寄付すると思います。多謝&再見。

 

 

 

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 40代の生き方へ
にほんブログ村

2 comments on “マルカンデパートに行ってきた

  1. Turn-X

    この百貨店の事は全国ニュースになっていましたので、私も記事で見ました。
    当地では地元資本の百貨店はなくなって久しいですが、今どきはほとんどの買い物がスーパーか下手すると通販で間に合うとは言うものの、贈り物などを購入するのに、百貨店が一件もないというのも困ります。
    本来百貨店というのは、何でもそろうという点も登場した当時は画期的な事だったのでしょうが、それとは別にある程度カネを払えば、とりあえず間違いのないものが手に入るという信用があったのがスーパーとは違うところだったと思うのです。
    それがこれだけ廃れてきたというのは、世の中に「カネさえ払えば」という余裕がなくなってきたのと、百貨店自身が自分の立ち位置を忘れてしまったのが原因かもしれません。
    まあ、当地のつぶれた百貨店の話で言えば、そもそも末期は明らかに店員のやる気がなかったですが。
    今でも覚えているのは、フォーマルな雰囲気の財布を買いに行ったときの事なのですが、これは当時の自分がそういうところに買い物に行くには明らかに若かったせいかもしれません。
    マルカンデパートが今後どうなるかはわかりませんが、クラウドファンディングで資金を募るというのは今風で面白いと思いました。
    今の良い雰囲気がうまく残されるといいんですけどね。

    • ヨコチン Post author

      定義的には、マンツーマンの販売するかどうかだって話聞いたことあるよ。百貨店は客一人に店員一人。スーパーは違うよね。
      オレも百貨店、ほとんど利用しないけど、なくなったらそれはそれで困るんだろうね。
      よく言われるのがお遣い物の包装紙。中身が同じでも、百貨店の包装紙とスーパーの包装紙だと箔が違うって話は聞くね。そういうものもスーパーや通販より高い値段には含まれているんだろうね。
      信用もあるだろうね、二流のパチモンは間違っても売らないだろうから。

      マルカンは、物販に関してはデパートとして、というよりはテナントビル的なものを考えてるみたい。とにかく6階の大食堂を残すのが一番の目的で。
      このご時勢、県庁所在地ででもキツイのに、地方都市じゃ本物のデパートは厳しいんだろ。身請けを申し出た企業もやはり目標は食堂みたいよ。
      ものすごく昭和レトロな場所だったから、うまくPRすれば人は呼べるような気はします、というかオレはたまに行くと思う。
      再起出来るといいな~

Submit comment

Allowed HTML tags: <a href="http://google.com">google</a> <strong>bold</strong> <em>emphasized</em> <code>code</code> <blockquote>
quote
</blockquote>

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください